2024.04.24 パナソニック インフォメーションシステムズが創立25周年 玉置肇社長に今後の方針を聞く

玉置 社長

PXと外販事業200億円達成を完遂

人員拡充へ社内環境整備

 パナソニックグループは事業の競争力強化に向けてDXへの取り組みを加速。DXへの取り組みをPX(Panasonic Transformation)として重要戦略と位置付け、強力に推進する。PXを支えるグループ中核のIT企業がパナソニック インフォメーションシステムズ(PISC)だ。1999年2月、当時の松下電工100%子会社としてスタートし、今年、創立25周年の節目を迎えた。玉置肇社長(パナソニック ホールディングス執行役員グループCIO=最高情報責任者)に今後の方針を聞いた。

—創立25周年おめでとうございます。

 玉置社長 当社は、さまざまな変遷を経て今に至っている。とりわけ旧松下電器産業・松下電工・三洋電機と社員の出身母体が異なり、前任の経営陣がこれを一つにまとめあげてこられた努力と、社員の皆さまもこれを乗り越えてこられたからこそ、25周年を迎えられたと考えている。

—社長就任3年目ですが、どのようなイメージをお持ちですか。

 玉置社長 (2021年5月に)着任してすぐに思ったのは、良い会社だということだ。グループの仕事は多いがやはり皆がプロ意識を持ち、自分たちが支えているという思いが強く、仕事に対し真摯(しんし)に真面目に取り組み、パナソニックグループのことを非常によく考えている。

 松下電工インフォメーションシステムズ時代から継続してきている外販事業も、良いものを持っていることはすぐに分かった。

 現在PISCの連結子会社はパナソニック ネットソリューションズ、パナソニック インフォメーションシステムズ上海があり、3社連結の売上高は1460億円(23年度見込み)、前期比107%と非常に伸びている。外販事業は、国内だけで見ると今年度186億円(見込み)だ。

 ITの子会社は一般的に200億~300億円規模のイメージだが、当社は1400億円と事業規模が大きく、パナソニックグループのグローバルでのIT中核会社としてユニークな存在といえる。外でも売れる力を持っており、B2Bの事業ポートフォリオの中で、しっかり存在感を出せる会社にすることが私の役割だ。

—24年度の方針を説明していただけますか。

 玉置社長 パナソニックグループの中期計画最終年度であり、PXと外販事業200億円達成の二つをまずは完遂する。PXは非常に大きなテーマがめじろ押しで、今期PISCが大きく増販しているのもグループ内のDX関連の仕事が多いためだ。それだけグループの全ての事業会社が変革を急いでいることの現れであり、これをまずしっかり完遂する。

 外販事業は、24年度200億円の売上目標で臨むPenguin(ペンギン)200プロジェクトに取り組んでいる。厳しい課題もあるが、二つとも達成可能と思っている。

—中期の展望をお聞かせください。

 玉置社長 私たちはグループの中核のIT会社であることは確かだが、大規模なシステム刷新のプロジェクトは27~28年度にはある程度、終焉(しゅうえん)を迎える。その先はグループの中で良いものを作り、一般の市場にお届けすることにより、200億円からさらに上積みし、パナソニックグループのB2B事業に貢献したい。グループの中でも外でも稼げる会社を目指し、特に外販比率を高めたい。

 そのためにどうしてもやらなければいけないことは人員の拡充だ。新卒採用では、製造ではなくITの求職者と対しており、初任給はグループ内で最高水準にした。昨年11月から専門職制度も作り、何人かが昇格し処遇が上がった。さまざまなキャリアパスを用意し、ITの会社として魅力を感じて働いてもらえる環境を整えた。

 制度面ではDEI推進に取り組むほか、組織風土面では、経営幹部と社員との距離を縮めてフラットな組織に近づけるため、社内ブログや社内ラジオも活用している。フラットな組織は社員のポテンシャルを解き放つという良い面を持ち、組織の硬直化を防げると考えている。