2024.04.26 【やさしい業界知識】FA業界
人手不足が顕著となる中、FAによる自動化、省人化は不可欠だ
工場自動化設備や部品
人手不足で需要確実に伸長
FA(Factory Automation)は、製造業における自動化機器やシステムを指す。工場の材料の搬入から製造、出荷に至るまでの工程を自動化する生産技術、生産設備、生産設備を構成する機械部品といった業界を「FA業界」と総称している。
工業生産の自動化技術は「第1次産業革命」(18世紀後半の紡績機械化)、「第2次」(19世紀半ば~20世紀初頭の重工業の機械化、大量生産化)と変遷。1970年代初頭からの「第3次」は、軽工業の機械化、コンピューターの生産現場への導入、ロボットの導入で、単純作業の自動化も始まった。FAという言葉が用いられるようになったのもこの頃からである。
独で生産革新提唱
ドイツが2011年に第4次産業革命に位置付ける生産革新「インダストリー4.0」を提唱。IoT技術を活用した生産システムにより製造業の生産性を革新的に向上させようという概念で、現在では「スマートファクトリー」や「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」として普及が進む。
関連業界は多岐
FA業界は、スイッチやリレーといった電気制御機器コンポーネントから、モーター、インバーター、産業用ロボットなどの機器、電子部品実装機、半導体製造装置、搬送システム、工作機械、自動化装置など製造設備と、これらに使われる軸受、直動案内機器、機械要素部品と、関連業界は多岐にわたる。
さらに、スマートファクトリーを実現するにはIoTや通信技術、ソフトウエア、エンジニアリングなどの業界も加わる。
日本の人口は毎年60万人超減少している。若者の製造業離れも顕著となり、労働力確保は大きな課題だ。欧州や中国でも製造業の人手不足が表面化している。FAによる自動化、省人化、スマート化は不可欠になる。
FA業界は、製造業のデジタル技術による自動化やカーボンニュートラルなどの投資により、需要は確実に成長している。
電気制御機器の業界団体である日本電気制御機器工業会(NECA)がまとめた電気制御機器(操作用・検出用スイッチ、制御用リレー、PLC・FAシステム機器、制御用専用機器)の直近の出荷統計によると、23年4月~24年2月の出荷は、国内3881億円(前年同期比93.7%)、輸出2345億円(同73.2%)で総額6226億円(同84.8%)だった。(毎週金曜日掲載)