2024.04.26 日立、3月期連結は主要3セクター増収増益

小島社長(右)と加藤CFO小島社長(右)と加藤CFO

 日立製作所の2024年3月期連結決算は、グループ会社の再編などで前期比減収となったが、デジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素などのグリーントランスフォーメーション(GX)関連の堅調な受注により主要3セクターは増収増益となった。

 2025年3月期を最終とする2024中期経営計画で掲げてきたキャッシュフロー経営の取り組み成果も表れコアフリーキャッシュフローが過去最高を達成。ROIC(投下資本利益率)も向上した。

 デジタル分野の「デジタルシステム&サービス(DSS)」、エネルギーや鉄道の「グリーンエナジー&モビリティ」、社会インフラなどの「コネクティブインダストリーズ」の主要3セクターの売り上げは同12%増収となり、調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)も同20%増となった。

 デジタル関連ではDXやクラウドサービスが拡大。IT子会社グローバルロジックがけん引した。エネルギー関連では送配電事業子会社の日立エナジーが欧米で大きく伸ばした。注力しているデジタル事業「ルマーダ」も大きく伸ばし、26日に会見した加藤知巳執行役専務CFO(最高財務責任者)は「ルマーダの収益が日立の収益性向上に貢献している」と述べた。

 中計最終となる25年3月期は売り上げ9兆円、調整後EBITAは1兆350億円を目指す。中計で掲げていた売り上げ、利益、ROIC、キャッシュフローなどの各財務目標はおおむね達成する見通しだ。

 小島啓二社長兼CEOは「GXとDXを追い風にKPI(主要業績評価指標)は達成する見込み」と説明。コアフリーキャッシュフローは目標に対し、3000億円増の1.5兆円になる見込み。成長投資も拡大する。これまでの8000億円に加え、今後は生成AIやDX、GXで拡大する製造分野、社会インフラのサービス化などに1兆円投資するとし、次の中計につなげていく考えを示した。