2024.04.28 国内で相次ぐデータセンター新設 生成AIも関係しているって本当?

データセンターの国内投資予測

 クラウドサービスの拡大や生成AI(人工知能)の登場により、データセンターの重要性が高まっています。アマゾンやグーグル、マイクロソフトなどの巨大IT企業が大規模データセンターを国内に次々と建設し、首都圏に集中していたデータセンターの地方分散化も進みつつあります。一方で、データセンターの電力消費量の増加が課題として浮上しており、再生可能エネルギーの活用など、データセンターのグリーン化にも注目が集まっています。「一度見学してみたいです!」と関心を示す新入社員に、データセンターに詳しい記者がどのような施設かを説明しました。

 新入社員 データセンターって具体的にどのような施設なのでしょうか。

 記者 データセンターとは、サーバーやストレージなどのIT機器を設置し、企業のシステムを運用する施設のことを言います。クラウドサービスの利用拡大をはじめ、生成AIの処理には、膨大な計算リソースが必要になります。そのリソースを確保するために、データセンターの新設や増設が相次いでいるのです。

 新入社員 データセンターの需要が高まると、電力消費量も増えてしまうのでしょうか。

 記者 データセンターにあるサーバーやストレージ、ネットワーク機器などを稼働するには当然、電力が必要になります。省エネ性に優れた最新のIT機器を導入したとしても、データセンターには膨大な数のサーバーやストレージなどが設置されているため、多くの電力を消費してしまいます。そのため、電力対策は重要な課題となっています。

 解決策の1つとして、再生可能エネルギーを活用した「グリーンデータセンター」の取り組みが進んでいます。グーグルが千葉に建設したデータセンターは、100%再生可能エネルギーを使用して運用されています。日本企業でも、NECやインターネットイニシアティブ(IIJ)などが、脱炭素を意識したデータセンターの取り組みを進めています。

千葉県印西市にグーグルが建設したデータセンター

 新入社員 データセンターはどういった場所に建てられているのでしょうか。

 記者 国内にあるデータセンターの約8割が東京と大阪に集中しています。ただ、近年は、千葉と北海道がデータセンターの集積地として注目されており、電力事情やリスク分散の観点からも、地方への分散設置が進んでいます。経済産業省も地方分散を後押ししています。

 例えば千葉では、グーグルの他にもIIJが「白井データセンターキャンパス」2期棟を白井市に開設し、昨年から運用を開始しています。

 新入社員 IT各社は、今後どのようにデータセンターを展開していく計画なのでしょうか。

 記者 アマゾンやグーグル、マイクロソフトといった外資系IT企業は、日本国内に大規模なデータセンターの新設を進める計画です。特にマイクロソフトは約4000億円を投じ、生成AIに対応するデータセンターの建設を表明しています。

 国内IT企業では、全国各地にデータセンターを構える富士通が、最先端技術やグリーンテクノロジーに対応した館林データセンター(群馬県館林市)を国内最高水準の施設と位置づけて運用しています。日立製作所はモジュール型のデータセンターに注力するほか、NTTは国内外で1兆5000億円をデータセンターに投資する計画です。

 新入社員 データセンターへの投資はこれからも続きそうですね。

 記者 IT関連の調査会社であるIDC Japanは、データセンターへの国内投資が2024年は前年から約1.5倍増えて5000億円を超えると予測しています。さらに27年にかけて毎年5000億円規模の投資が続くと見ています。デジタル社会が本格化するにつれ、データセンターは社会インフラの一部としても存在感を増すばかりと言えるでしょう。