2024.04.17 オープンAIが東京に拠点開設 日本語特化型GPT-4も発表、法人向けサービスなど展開強化
記者会見で撮影に応じるオープンAIのライトキャップCOO(左)とアナ・マカンジュ副社長(右)、日本法人の長崎社長(中央)=15日、東京都千代田区
生成AI(人工知能)の火付け役が日本に上陸した。対話型生成AI「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIが15日、アジアで初となる日本拠点を東京都内に開設したと発表した。日本法人「オープンAIジャパン」を立ち上げ、国内での採用活動や法人セールス、カスタマーサポートなどを順次展開する。日本進出に合わせ、処理速度を3倍に向上させた日本語特化型の「GPT-4」も発表。日本企業向けの事業を強化する。(関連記事3面)
同社はAIの開発と普及を目的とした非営利研究機関として2015年に設立された。人間のように自然な受け答えができる高度な性能を備えたチャットGPTは22年11月末の公開以来、世界的に注目を集め、生成AI拡大のきっかけとなった。海外拠点は英国ロンドン、アイルランド・ダブリンに続き、日本が3カ所目。日本法人の代表にはアマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)元社長の長崎忠雄氏が就任した。
「東京は技術とイノベーションのリーダーシップからすると拠点として自然な選択。日本の皆さんにパートナーとして迎えていただき、AIが前例のないイノベーションとポジティブな社会変革の触媒となる未来に向けて出発できることに感謝する」。同日、東京都内で開催された記者発表会で、ビデオメッセージを寄せたオープンAIのサム・アルトマンCEOはこう強調した。
会見会場であいさつに立ったオープンAIのブラッド・ライトキャップ最高執行責任者(COO)は「日本は非常に重要なマーケットだ」と述べ、生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)GPT-4について、日本語向けに最適化したモデルを提供することを明らかにした。日本語のテキストの翻訳と要約のパフォーマンス、コスト効率を向上させ、前モデルと比べ最大3倍高速に動作するという。
ライトキャップCOOは「日本への投資は非常に可能性があり、企業、政府、教育などにも広げていきたい。日本の需要に応えながらたくさん成長したい」と意欲をみせた。
長崎氏は日本法人の活動について、日本で営業や技術などのチームを立ち上げ、法人向けのチャットGPTの販売やサポートから着手し、年内に十数人規模にする考えを示した。既にダイキン工業や楽天、トヨタコネクティッドが導入し、ビジネスプロセスの自動化、データ分析の支援、社内報告の最適化などに活用されているという。
長野氏は「オープンAIのこのツールは飛躍的に進化していく。ツールの普及によって、われわれの生活の質、社会全体に関する生産性や創造性が向上すると信じている。きょうはその第1歩だ」と力を込めた。
生成AI開発を巡っては、米IT大手各社が日本での事業展開を強化している。マイクロソフトが今後2年間で約4400億円を日本向けに投資する計画を打ち出したほか、AWSは27年までの5年間で約2兆3000億円を投資する方針。グーグルも1000億円を投じてデータセンターや海底ケーブルの敷設を進めている。
国内ではNECとNTTが日本語特化のLLMを商用化したほか、KDDIもAI開発のスタートアップを子会社化して生成AIに参入。ソフトバンクと楽天グループも事業化を準備しており、国内外の競争が激しさを増している。