2024.05.10 【やさしい業界知識】コンデンサー

電子機器に必須の部品

スマホ、自動車、産機などで需要拡大

 コンデンサーは、電気(電荷)を蓄えたり放出したりする機能を持つ電子部品。また、直流電流を通さずに交流電流のみを通したり、ノイズを吸収する機能なども有している。このため、電子回路では必ず使用され、電子機器にとって必須の部品となっている。コンデンサーの記号は「C」。単位は「F(ファラッド)」。

 近年は、スマートフォン向けの超小型品、自動車向けの高信頼性タイプ、産業機器や新エネルギー関連向けの高性能品を中心に市場が拡大している。

 コンデンサーの分類は、誘電体として使われる材料によって、セラミック、タンタル、アルミ電解、フィルム、電気二重層などの種類があり、それぞれの特徴を生かして最適に使用される。コンデンサーの新製品開発では、機器の高機能・高性能化に対応するため、小型化と高容量化の両立が追求され、耐熱性の向上や長寿命化も重視される。

多様な機器に

 誘電率の高い誘電体セラミックを積層プロセスで量産する積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、周波数特性に優れていることから、スマホやウエアラブル機器向けの0.4×0.2ミリメートルサイズ(0402サイズ)などの超小型品から、車載ECU向けの高信頼・大容量品まで、さまざまな機器で搭載されている。最近は、より小型の0.25×0.125ミリメートル(0201サイズ)品もモジュールなどで採用されている。

 アルミ酸化皮膜を誘電体とし、陰極アルミ、電解液、電解紙からなるアルミ電解コンデンサーは、静電容量が大きいことが特徴。各種電子機器の電源回路で最適に使用される。インバーター向けなどの高電圧の大型品の需要が伸びている。

車載用が伸長

 最近は、電極材料に電解液の代わりに導電性高分子(ポリマー)を用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーや、電解質に電解液と導電性高分子を用いた導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)の用途が急速に拡大しており、特に車載向けの需要が大きく伸長している。

 これらの車載電装用途で使用されるコンデンサーでは、150度の高温度対応、耐高リプル電流化、AEC-Q200(受動部品の信頼性試験規格)認定などへの取り組みが活発化している。

 タンタル粉末を誘電体素子としているのがタンタルコンデンサー。MLCCとアルミ電解の両コンデンサーの中間的な位置付けで、主用途はノートパソコン、ゲーム機など。近年は高さが1ミリメートル台に低背化して、スマホやタブレット端末などでも使用される。

 フィルムコンデンサーは、蒸着したプラスチックフィルムを誘電体としたもの。現在は耐熱性に優れるポリプロピレン(PP)フィルムが最も使用されている。用途は、アルミ電解コンデンサーと同様に電源分野。平滑、共振、ノイズ対策として利用されている。

 電気二重層キャパシタ(EDLC)は、活性炭電極の表面に有機分子を吸着させ、誘電体としたもの。半導体のバックアップ電源、蓄電、回生エネルギーなどとして利用される。

 リチウムイオンを電極材用としたリチウムイオンキャパシタ(LIC)も、同様な市場を背景に開発されている。(毎週金曜日掲載)