2024.05.15 シャープ、中期経営方針発表 デバイス事業のアセットライト化推進

オンラインで中期経営方針を説明する呉CEO(中央)

アセットライト化の一環としてSDPで大型パネルの生産を停止するアセットライト化の一環としてSDPで大型パネルの生産を停止する

 シャープは14日発表した中期経営方針で、2期連続最終赤字計上を受け、資産的に身軽にするデバイス事業のアセットライト化を本格推進する。第1弾として子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP)での大型ディスプレーパネルの生産を24年9月末で生産停止する。呉柏勲CEOがオンライン会見で明らかにした。

 呉CEOは会見で、23年度業績はテレビ、白物、オフィス機器などブランド事業はマイナス要因が多い中、大幅増益を確保したと評価。一方でディスプレイデバイス事業の不振が業績に大きく影響して2期連続の赤字になったと指摘した。

 莫大な設備投資が必要なデバイス事業のアセットライト化は不可欠として、今回SDPの整理に生産停止という大なたを振るった。

 SDPの跡地利用について呉CEOは「AIデータセンタ―への活用を検討している」と述べ、従業員の今後についても「従業員の権利を守るのが大事」との考えから、社外転身支援プログラムの適用を労働組合に申請したという。

 同社のデバイス事業はディスプレイデバイス(DD)とエレクトロニックデバイス(ED)の製品群で構成。DDのうち、中小型ディスプレイ事業は他社との協業や工場の最適化の道を探ることで収益改善を図る。カメラモジュールと半導体のEDはさらなる成長をめざすが他社への譲渡も視野に入れる。

 25~27年度は成長モデル確立の期間とした。積極投資によりAI、次世代通信、電気自動車(EV)などの領域を中心に"ネクストイノベーション“と呼ぶ新産業を新たに創り上げ、着実に利益の成長を実現。27年度には営業利益7%を達成したいとしている。中長期的に収益性向上が難しい事業は売却・撤退の検討もあり得るとした。

 呉CEOは新産業を探るためには親会社の鴻海精密工業のリソースも有効活用すべきと指摘、オンラインでビデオメッセージを寄せた劉揚偉董事長も「シャープの方針を支持し、今後も連携していく」と同意した。 

 メディア側から2期連続赤字の責任の所在を問われた呉CEOは「中期経営方針をやり切るのが私の責任」と語り、新経営方針達成に意欲を示した。(16日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)