2024.05.18 夏キャンプ目前 ポータブルエアコン発売相次ぐ 山善が新規参入、電源メーカーからも新型
夏のキャンプシーンで活躍する中国BougeRVのポータブルエアコン
夏のキャンプシーズンを前に、ポータブルエアコンの新製品が相次いでいる。山善は6月、取り外し可能なリチウムイオン電池で駆動する新製品を売り出し、市場参入を果たす。ポータブル電源を手掛ける中国BougeRV(ボージアールブイ)も今月15日、ポータブルエアコンを日本市場に投入した。エアコン未設置の部屋やガレージに持ち運んで使うなど、アウトドア以外でも使える製品だけに、猛暑対策の1つとしても年々存在感を高めつつあるようだ。
「バッテリー家電の特長であるコードレスの実現と省エネ、脱炭素、災害など有事での有用性を『ELEIN(エレイン)』シリーズで展開したい」。山善が15日に開いた、リチウムイオン電池で動く家電「エレイン」シリーズの発表会で、商品企画の担当者はそう力を込めた。
シリーズの1つにラインアップされたポータブルエアコンは、リチウムイオン電池4個を使えば約2時間駆動する。コンセントからの給電にも対応するため、エアコンのない場所でもコンセントさえあればスポット的に冷やすことが可能だ。
これまでポータブルエアコンは、ボージアールブイのようなポータブル電源メーカーが製品を主に展開してきた。夏のキャンプでは暑さ対策が課題の1つ。キャンプにも使われるようになってきた、携帯性に優れたポータブル電源から給電し、外でも冷風を浴びられるポータブルエアコンは、まさに相性の良い製品。ポータブル冷蔵庫とともに、にわかに提案が活気づいている。昨年5月には、業界大手エコフローもポータブルエアコン「WAVE 2」を発売し、積極的にアピールしている。
エコフローの調査では、ポータブルエアコンの市場規模は世界で10万~20万台。大規模というわけでは決してないが、ポータブルエアコンは、ポータブル電源の充電にも使える太陽光パネルからの給電に対応するなど、災害時の活用も提案されている。アウトドア以外にも役立つ提案で、各社が市場の底上げを目指している形だ。
一方、家庭で使うには、キャスターが付いたスポットエアコンの方が、より使い勝手が良いと言えよう。ポータブルエアコンは10万円以上する価格帯が多い中、スポットエアコンは10万円未満で購入可能な製品もラインアップされている。設置工事を伴わないとはいえ、10万円以上を払えばエアコンを設置できてしまう。ただ、どうしても設置できない部屋などもあるため需要は拡大傾向にあり、家電量販店では、夏が近づくと売り場の一角を占めるようになってきている。
スポットエアコンの市場規模は世界で350万台との推計もある。ポータブルエアコンに比べて規模は1桁変わってくるが、それぞれ主とする用途に応じて選択するもの。今年も暑さが厳しくなりそうであり、早めの対策が求められそうだ。