2024.05.24 【やさしい業界知識】高周波部品
高周波回路で多用される部品
通信機能の拡充で需要増大
高周波回路を構成するコンポーネントや通信モジュール。高周波の明確な定量的定義はないが、無線通信分野では一般に数十キロヘルツ以上の周波数帯域を高周波と呼ぶことが多い。
電子情報技術産業協会(JEITA)の電子部品分類では、高周波部品は「その他の電子部品」の一つに分類される。高周波部品の種類には、スマートフォン等の情報通信機器用RFモジュールや、ブルートゥース/無線LAN等のワイヤレス通信モジュール、テレビ/ラジオ受信チューナー、アンテナ、RF/IF用フィルター、デュプレクサー、水晶発振器、アイソレーター、アッテネーターなどがある。
グローバル需要
近年は、スマホやタブレット端末、ウエアラブル機器をはじめとする携帯型端末等でのRFモジュール(アンテナスイッチ、フロントエンドモジュール、パワーアンプモジュールなど)、近距離無線通信モジュール、RFフィルターなどの増大や、通信基地局需要の増加、自動車のコネクテッド化、IoT機器の広がりなどが、高周波部品のグローバル需要をけん引している。
高周波部品の用途は、スマホやタブレット端末、ウエアラブル端末等の移動体通信端末をはじめ、薄型テレビやBDレコーダー等の映像機器、家庭用ゲーム機、パソコン/コンピューター、ドローン、通信機器、車載電装機器、ネットワークインフラ、FA機器、計測器など幅広い。
近年は白物家電や住宅設備機器、医療/ヘルスケア関連でも無線通信機能の拡張が進んでいる。
さらに今後は、5G通信の普及やミリ波帯域の活用拡大、IoT関連市場の広がりが通信機能搭載機器の需要を押し上げ、高周波部品需要を増大させていくことが期待されている。
機器の小型・高性能化や通信の高速大容量化に伴い、高周波モジュールやアンテナには一層の高性能化や小型化、さらなる高周波帯域への対応などが要求されている。
電子部品各社は、高周波技術や微細回路技術、ソフトウエア技術などを駆使し、超小型・低消費電力で使い勝手の良い製品開発に力を注いでいる。
モジュール開発
無線通信の仕様にはWi-Fiやブルートゥース、ZigBee、EnOceanなどがあり、異なる仕様にワンパッケージで対応するコンボモジュール開発にも力が注がれている。最近はブルートゥースの低消費電力仕様「ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)」対応モジュールの開発も活発。日本では2011年のアナログ停波に伴い、新たに920メガヘルツ帯がISMバンドとして割り当てられたため、Sub-ギガヘルツ帯モジュールの開発も活発化している。
低コスト化も
さらに近年は、低コストでのIoTソリューションの構築が可能な、Sigfox(シグフォックス)やLoRaWAN(ローラワン)をはじめとするLPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)モジュールの開発も活発。セルラーベースのLPWAの需要も本格化している。(毎週金曜日掲載)