2024.05.29 【JECA FAIR特集】電設業界、受注は回復傾向 人手不足対策が今後の鍵
電気設備業界は送電網や電線、配線、電気設備、電子機器などの企画設計・施工・保守管理を担う重要な業界だ。ただ、建設業界の動向、景気の影響を受けやすい。
国土交通省の受注高調査(4月30日発表)によれば、電気工事の受注高は2021年度が前年度比6.2%増、22年度は同11.4%増、23年4月~24年2月は前年同期比7.8%増の1兆7656億円(速報値)。コロナ禍による設備投資抑制の影響を受けた20年度の落ち込みから回復した。
電設業界は、社会環境の変化に対応した最新機器や新工法による生産性向上、施工の省力化・効率化と働き方改革の推進に取り組んでいる。背景には慢性的な人手不足がある。技術者・技能者の高齢化や若年入職者の減少傾向は継続しており、人手不足対策が今後の鍵を握る。
製品の「ねじレス」「工具レス」「スキルレス」化は現場の作業効率を高める。例えば、ドライバーを用いたねじ締めを不要とし、簡単に配線できる「プッシュイン方式」の端子は、配線工数を削減して作業時間を大幅に短縮し、生産性を改善する効果がある。
ねじの増し締め作業がいらず、現場の保守管理業務の簡素化に貢献するだけでなく、ねじの締め付け不良を削減でき、誤配線や誤接続を防止して品質の安定化・均質化を促すなど、脱属人化が図れる。
また、通信機能を搭載した機器による遠隔監視、クラウドを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)化で作業効率向上への関心は年々高まっている。運転状態をリモートで監視する効果は、機器の予防保全業務にもつながる。工場内の電力使用量をリアルタイムで把握することでエネルギー消費量の削減にも貢献できる。
脱炭素化を踏まえ、環境関連の電気工事ニーズは増大している。関連する製品やソリューションの使用・導入が持続可能な社会の構築につながっていく。