2024.05.29 仮想空間で世界遺産訪問 白川郷・五箇山の合掌造り デジタルヘリテージセンター開設

自身のアバターを作成し、集落を散策できる

合掌造り集落が再現されたメタバースコンテンツ「白川郷・五箇山ワールド」合掌造り集落が再現されたメタバースコンテンツ「白川郷・五箇山ワールド」

 岐阜県白川村と富山県南砺市は、合掌造り集落の魅力をデジタル上で体験できるWebサイト「白川郷・五箇山の合掌造り集落世界遺産センター」(デジタルヘリテージセンター)を公開した。

 同センターは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の技術提供を受け、NTTドコモが企画開発。Relicが運営するメタコミュニケーション「MetaMe(メタミー)」をコンテンツとして採用し、両自治体が協働して1つの資産として集落の魅力を伝える。

 NTTコムは、住民やガイド、学生、訪日外国人同士の交流など、仮想空間ならではの体験やイベントを創出できる場(プラットフォーム)を提供するとともに、ほかの観光都市とも連携。維持費などのかかるハードではなく、デジタル上で世界遺産・観光資源としての魅力を伝えることで、人口減少など両自治体が抱える課題解決への貢献を目指す。

 メインメニューとして表示されるのは、白川郷と五箇山パノラマスカイビュー、遺産としての価値・範囲、歴史・産業、保存の歴史、メタバースコミュニティーワールドなど。今回の取り組みで、白川郷・五箇山を訪れる前の事前学習や興味を持ったことをさらに深く学ぶ事後学習など、最適なタイミングでスマートフォンやパソコンなどを使い、Web上から同センターを訪問できるようになった。

 メタバース空間では、自分のアバターを作成し、集落を散策・体験、ほかの参加者との会話などを楽しむことができるコンテンツ「白川郷・五箇山ワールド」を構築。屋根に登ったり、養蚕の様子を見たりでき、キャプチャーなどを使ったSNSの発信も期待している。今後も、同空間の利用を促進する新たなコンテンツの提供やイベントの開催などの取り組みを進めていく。

 白川郷・五箇山は1995年にユネスコ世界文化遺産に登録され、毎年国内外から多くの観光客が訪れている。世界遺産のある地域では、歴史・文化的価値や関連情報を提供する世界遺産センターを保有し、観光振興や保全活動に寄与しているところが多いとされる。

 一方、白川郷・五箇山のエリアにはその機能を果たす施設がなかった。また、岐阜県白川村と富山県南砺市にまたがって登録されており、両自治体が協働で1つの資産の魅力を伝えるためのコンテンツも不足しているという課題もあった。