2024.06.05 【環境の日(エコファースト企業)特集】東レエンジニアリングDソリューションズ CAE活用で試作ロス削減など
CAEが試作ロスを減らす
東レエンジニアリングDソリューションズは、カーボンニュートラルに向けてCAE(コンピューターによるエンジニアリング)を活用した試作ロスの削減、省エネ生産を提案する。
同社のCAEソフトウエアは、射出成形やプレス成形などで生じる外観不良や反り変形の発生を予測・分析して早期対策に生かせる樹脂解析ソリューション。
金型製作で効果を発揮する樹脂流動解析ソフト「3D TIMON」は、素材・成形方法ごとにパッケージ製品をそろえる。設計段階では成形シミュレーションソフト「PD Advisor」が反りなどの変形を予測する。
メーカーの工程では量産化に向けた金型設計で試行錯誤が繰り返されるもの。3D TIMONを事前検討に活用すれば試行錯誤の回数を減らせる。金型修正コストの減少、成形トライ回数の削減、開発期間の短縮が可能。これが使用材料の最小化による試作ロスの削減、成形サイクルの短縮による省エネ生産を促す。
実際の活用事例では、大手総合電機メーカーのキッチン家電部門が外観不良対策の工数を80%削減した。電子部品メーカーは製品量産までのリードタイムを50%短縮している。CAEによる事前検討で金型試作の回数が減り、1社1製品当たりのCO₂排出量は平均的に約2トン減少する。
金型の工夫をシミュレーションすれば、射出成形機の型締め力を算出し、成形機自体のダウンサイジング判断に生かせる。成形機の小型化は消費エネルギーを減らし、環境配慮につながる。
同社のCAEソフトは、リサイクル材の再利用可否検証でも注目を浴びる。リサイクル材の使用自体が環境配慮になるが、樹脂の流れなどがバージン材と異なるケースがある。近年はリサイクル材の物性値でシミュレーションを行うケースが増えているという。
欧州は新車における再生プラスチック使用義務化への動きを見せる。解析ソリューションへの関心は自動車業界を軸に高まっている。