2024.06.07 【やさしい業界知識】掃除機

コードレススティック型が主流

吸引力と軽量化重視へ

 掃除機は、暮らしに欠かせない必需品として定着しており、複数台所有するユーザーも多い。近年はコロナ禍で在宅時間が増加、清潔・快適志向が高まったことから、軽量で取り回しに優れたコードレススティック掃除機への関心が高まった。

 掃除機市場では、かつてはコードの付いたキャニスター型が主力だったが、近年では使い勝手の良いコードレスの充電式スティック掃除機が主流となり、キャニスター型の需要は縮小している。

 掃除機の市場規模は、日本電機工業会(JEMA)に加盟するメーカーの年間出荷台数が500万台以上あり、非加盟メーカーも入れた実際の市場規模は600万台前後とみられる。

 JEMA統計による最近の出荷台数では、コロナ禍の2020年度に前年比11.7%増の488万台強と2桁伸長し、21年度、22年度も前年増で推移した。

 在宅時間の増加で室内の清潔志向がより高まったことから順調に市場は拡大していたが、直近の23年度は4年ぶりのマイナス成長となり、調整局面を迎えている。

 24年度は前年並み程度で推移するとみられるが、4月単月の出荷台数は前年同月比12%増と出足は好調だ。

多彩な商品開発

 掃除機は家電製品の中でも市場規模が大きく、外資系をはじめ、国内外のメーカーが参入し、競争が活発だ。コードレススティック掃除機やロボット掃除機で、多彩な商品開発が進んでいる。

 掃除機では、本質機能として吸引力(パワー)が重視される。加えて近年は掃除頻度が高まり軽量化が求められるようになってきた。

 以前は週末にまとめて掃除する人が多く、ごみ捕集に優れたパワー重視だったが、近年では、毎日こまめにサッと掃除するという人が増えている。高齢化や、共働き世帯・単身世帯の増加を背景に、家事負担が増えており、すぐに、負担なく掃除したいというニーズは高い。

 また共働き世帯における家事の分担、隙間時間の活用などライフスタイルも変化している。すぐにでも掃除がしやすいコードレススティック掃除機は、今後も着実な需要が見込めそうだ。

 JEMAの出荷統計によると、23年度はこのコードレススティック掃除機が掃除機出荷台数全体の7割を占めるようになっている。

 コードレススティック掃除機の性能も進化しており、軽量化、ハイパワー化、清掃の長時間化、静音化、清潔性向上など、より使い勝手が高まっている。

 コードレススティック掃除機は、キャニスター型にも採用されている、紙パック式や紙パックのないサイクロン方式などの集じん方式がある。

紙パック式見直し

 コードレススティック掃除機ではサイクロン式が主流だが、清潔志向の高まりを背景に、ごみを丸ごと捨てられる紙パック式も見直されている。

 掃除機にはスティックタイプのほか、キャニスター型をはじめ、ロボット掃除機や布団掃除機、水拭き掃除機など清潔ニーズに応える多彩な機種がそろっている。

(毎週金曜日掲載)