2024.06.28 【やさしい業界知識】カーAVC
市販カーナビ、苦戦続く
エンタメ重視や大画面などに力
2023年のカーナビゲーションやカーオーディオなどのカーAVCシステム市場(1~12月)は、前年比8.4%減の5426億と、3年連続で前年比減となった(電子情報技術産業協会〈JEITA〉)。出荷台数ではカーナビが同10.9%減だったが、ETC2.0対応車載ユニットは同55.1%増と好調に推移した。
20年からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う新車販売の減少や半導体不足の影響はなくなっているものの、依然としてカーAVC市場全体は苦戦が続いている。新型車の発売は続くものの、市販ナビが装着できない車種も出てきていることもあり、カーナビで前年割れが続いている。
この数年、市販カーナビは、純正にはない機能やサービスで特徴を出そうとしている。主要カーナビメーカー各社は現在、メーカーオプションなどの純正システムにはない、市販製品ならではの機能を強化。安心安全だけでなく、最近はエンターテインメントを重視した開発が進む。
カーナビなどを装着するには、新車を注文した際にメーカーの生産工場でナビを実装するライン装着のメーカーオプションを選ぶ方法のほか、販売ディーラーで装着するディーラーオプションで選ぶ方法、オートバックスやイエローハットといった量販店で市販専用のナビを装着する方法などがある。
最新機能を装備
メーカー装着のナビは、エンジンをはじめ車内情報の表示や空調操作ができるなど、純正ならではの機能とダッシュボードに埋め込まれた装着感の良さが売りだが高額になる。対して市販ナビは価格を抑えながらもスマートフォンとの連携や充実したAVメニューなど、市販製品にしかない最新の機能が付くことが特徴だ。
最近の市販ナビはこれまで装着できなかった8インチや9インチの大画面モニターを搭載できる機種が増えているほか、さらに大画面のナビも発売されている。
大画面ナビは車種専用に設計しダッシュボードパネルとセットで販売するモデルのほか、ダッシュボードからディスプレーを浮き出させ、車種を問わず大画面が装着できるよう工夫したモデルも各社から発売されてきた。無加工で8インチ以上のナビを装着できる車種も増えているため、大画面ナビが当たり前になりつつある。
技術面ではスマホ連携や対話型の音声認識をはじめ、CDよりも高音質なハイレゾリューション音源対応モデルやWi-Fi機能を搭載するモデルなど多彩だ。カーナビに加え、後席モニターやバックカメラなど周辺機器も充実し、エンターテインメントを前面に出すメーカーも増えている。特に、より高音質を求めスピーカーを交換する需要は底堅い。人気車種が中心になっているが車種専用のスピーカー取り付けキットなども出ており引き合いは多い。
ドライブレコーダー安定
安心安全の観点から普及が拡大したドライブレコーダーは、この1、2年は落ち着きをみせている。海外をはじめ参入企業も多く、前方だけでなく後方も録画できる2カメラモデルが主流になりつつある。
電子ルームミラーとドライブレコーダーが一体になったモデルも増えてきた。一部のカーナビメーカーも電子ミラーを発売しており、ドライブレコーダーだけでなく電子ミラーの提案も進んでいる。(毎週金曜日掲載)