2024.07.09 【家電総合特集】エコキュート 給湯の省エネに貢献 補助金追い風に普及拡大

補助金もあり、今後普及加速が見込めるエコキュート

 カーボンニュートラルの実現に向け、CO₂排出削減に効果が大きい省エネ機器への関心が高まっている。家庭内でのエネルギー消費が多い給湯分野においても、省エネへの関心が高く、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機「エコキュート」の普及拡大に期待がかかる。

 家庭でのエネルギー消費のうち、給湯は約3割を占めており、住宅の省エネにおいて給湯の省エネは大きな課題となっている。

 高効率給湯機の導入は、給湯の省エネにおいて有効な手段となる一方、高額な機種が多いため導入のハードルは高く、導入補助金も強化されている。

 2024年度は、経済産業省、国土交通省、環境省の3省が連携し「住宅の省エネリフォーム支援(住宅省エネ2024キャンペーン)」が展開されている。

 このうち高効率給湯機の導入支援となる給湯省エネ2024事業(経済産業省)には580億円の予算が計上され、昨年の予算額より倍近くとなっている。現状、補助金申請額は約4割に達している状況だ。

 対象となる高効率給湯機は家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)、家庭用燃料電池「エネファーム」。

 高効率給湯機の中でもエコキュートは、最も市場規模が大きい。日本冷凍空調工業会がまとめた出荷統計では、22年度には過去最高となる70万台強を記録し、市場は順調に拡大。ただ23年度は、前年度比12.4%減の61万6000台にとどまった。

 24年度に入ってから4月、5月の2カ月はほぼ前年並み程度で進んでいる状況だ。補助金もあることから、今後出荷も伸びるとみられる。

 普及が拡大するZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)でも最も標準採用されており、補助金を追い風にエコキュート導入の加速が期待できる。

 また、エコキュートが登場したのは01年で、買い替え需要も増えるとみられる。耐用年数は10年のため、10~15年で買い替えるユーザーが多く、現在、10年前後に納入された機器の更新時期を迎えており、今後着実に新規需要に加え更新需要の拡大が見込める。

 さらに太陽光発電システムを設置する世帯では卒FITユーザーが増え、電力の自家消費ニーズが強まるなか、太陽光発電システムの余剰電力を有効に活用して沸き上げる「おひさまエコキュート」も注目されている。