2024.07.09 【家電総合特集】冷蔵庫 大容量化ニーズが強い 収納性や鮮度保持性能も強化

冷蔵庫は大容量タイプを中心に堅調な推移を示す

 冷蔵庫は、共働き世帯の増加を背景に、まとめ買い需要が増え、大容量化へのニーズは強い。

 一方、高齢化世帯の増加もあるため、容量にはこだわらないが、収納性や鮮度保持性能など機能にはこだわりを持つユーザーもいて、付加価値の高い商品への関心が高まっている。

 冷蔵庫は普及率が高い製品の一つで、新規需要よりも買い替え需要の方が多い。電気代高騰の中で最新の冷蔵庫への買い替え需要を喚起するため、省エネ性や食材を新鮮に、おいしく長期に保存できる技術の進化、収納性の良さなど、特長を持った製品開発が重要だ。

 冷蔵庫は、まとめ買い需要の拡大から、大型タイプの構成比が高まっており、庫内容量が501リットル以上の超大型冷蔵庫も着実に増えている。

 日本電機工業会(JEMA)のまとめによると、コロナ禍に見舞われた2020年度は、巣ごもり需要の増加でまとめ買いが加速して前年を上回って推移し、大容量化が進んだものの、21年度、22年度は前年度割れで推移した。

 23年度も前年度比95.1%の344万5000台にとどまった。このうち、庫内容量が401リットル以上の大型冷蔵庫は45%の構成比となっている。

 24年度に入ってもマイナス伸長が続いているが、夏商戦の本格化に合わせ、今後ある程度の復調は見込めそうだ。

 ■IoT技術導入で進化する冷蔵庫

 近年、冷蔵庫はさまざまな環境配慮技術やIoT技術の導入で、使い勝手の良さや省エネ性が進化している。

 省エネ性の向上は、24時間通電しておくことが基本の家電製品として重要な課題であり、センサーや制御技術、真空断熱材の採用や高効率コンプレッサー開発などコア技術の進化に力が入る。

 さらに、冷凍・冷蔵技術の進化で、食材の鮮度保持機能が強化されるなど、ユーザーニーズに寄り添う商品戦略も活発だ。

 環境視点での取り組みが強まる中、国内の食材廃棄量の約半分(約244万トン・令和3年度農水省・環境省推計)は家庭から排出されており、冷蔵庫は食材の「保存庫」として、庫内の食材の鮮度保持はもとより、使い切りによるロス削減への貢献も求められている。

 このため、近年では庫内の今ある食材を知ることができるカメラの搭載や重量検知プレート採用といった機種も登場している。