2024.07.09 【家電総合特集】テレビ ミニLED液晶が拡充 ネット動画視聴の対応進む

大画面テレビの提案が進む

 国内のテレビ市場は新型コロナウイルス禍の巣ごもりから抜け、消費者の外出機会が増えたことから支出先が変わり販売は伸び悩んでいる。年間出荷は450万台前後で推移するとみられ、大半が買い替え需要になる。半面で大画面化が進み、数年前まではリビングのテレビは50V~55V型が多かったが、最近は65V型の販売も堅調だ。テレビメーカー各社はより大画面なテレビの訴求を強化している。

 国内のテレビの需要動向をみると2023年は前年比10.1%減の459万2000台だった。買い替えサイクルの長期化や、映像コンテンツの試聴が多様化していることもあり、この先も減少傾向が続きそうだ。半面で高精細4Kテレビは大画面化などの需要に支えられ、この先はほぼ横ばいで推移していくとみられる(いずれも電子情報技術産業協会〈JEITA〉)。

 テレビ各社は、大画面の高画質テレビの主力に4K有機ELテレビを置いて提案を進めてきたが、この1~2年はミニLEDバックライト液晶を拡充する動きも活発化している。これまでは高画質テレビの最上位は有機ELの一択だったが、今は値ごろ感のあるミニLED液晶モデルも選択肢に入ってきた。

 引き締まった黒との高コントラストは有機ELに軍配が上がるものの、ミニLED液晶も緻密なバックライトの制御により黒の再現性は高まっている。輝度はミニLEDが得意なため、視聴シーンや見たいコンテンツに合わせて機種を選ぶ人が多い。

 ■高音質化に磨き

 高音質化に向けた開発も進む。上位モデルの大半が映画館のような立体音響が楽しめるようスピーカーシステムを搭載。デジタル技術を組み合わせ、包み込まれるような音場空間をつくり上げる。ここでも各社が独自に音づくりに取り組み、メーカー色が出ている。

 最近は地上波などの放送だけでなくインターネット動画を視聴する人も増えていることから、大半のメーカーがネット動画対応を強化。さまざまなネット動画を簡単に検索して視聴できる機能だけでなく、動画コンテンツに合わせて画質を最適化する機種が主流になっている。AI(人工知能)を活用した画像最適化技術も進化を続けている。

 現在、テレビを展開するメーカーはパナソニックやソニー、シャープ、TVS REGZAといった主要メーカーのほか、LGエレクトロニクス、ハイセンス、TCLといった海外メーカーも参入し、画質音質を前面に出している。

 7月26日にパリオリンピックが開幕する。大型スポーツイベントに合わせて映像機器が動くことも多いため、各社は新製品を投入し需要を喚起していく構えだ。