2024.07.12 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組み 岡谷電機産業 矢﨑秀延執行役員

矢﨑 執行役員

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成長分野で製品拡充

幅広い用途で実績上げる

 岡谷電機産業は、コンデンサーやノイズ、サージ対策部品などを主力に手掛け、電磁両立性(EMC)、伝導ノイズ対策製品を中心に生産と開発を進める。成長分野での堅固な収益基盤となる製品群の拡充や、多様な分野における幅広い用途で実績を積み上げている。

 ノイズサプレッションキャパシター、ノイズフィルター、電源用コモンモード/ノーマルチョークコイル、シリコンサージアブソーバー、アレスター、これらを使った複合部品も展開。電源ノイズ対策に重点を置く。

 国内外の安全規格へ製品を適合させるほか、顧客がノイズ規制に準拠する際の助言や対策提案も手掛ける。

 EMC対策製品は「30年前から顧客に持ち込んで現場が求める対策を施し、見つけた課題を新製品開発に反映させてきた」(矢﨑秀延執行役員)。業界での標準化にも寄与してきた歴史がある。

 4月には北米向け半導体製造装置の活況も念頭に、現地の短絡電流定格(SCCR)記載義務に対応したノイズフィルター、サージプロテクターの一覧を公開した。技術開発拠点の一つ埼玉事業所(埼玉県行田市)が担当。比較的手薄だった半導体製造装置の分野で国内最大手を含めSCCR対応EMC対策製品の採用を広げる。

 中国では現地法人の東莞岡谷電子(広東省東莞市)を拠点にコンデンサーおよびコイルに関する新材料開拓を進める。

 空調機器は電源効率向上のためスイッチング周波数が20キロヘルツから100キロヘルツに移行するなど、発生するノイズの特徴が変化。それに合った磁性体材料採用のため、新型コロナウイルス感染症の緩和後から現地材料メーカーと開発協力を強化している。

 産学連携では、ノイズをデジタル処理で除去する研究を進めた。アンプで本来のノイズと逆位相のノイズを発生させ互いに打ち消す。

 同原理でノイズを除去できる低コストの半導体製品の登場に期待し、大電流用ノイズフィルターへの搭載も構想する。

 自動搬送機(AGV)の無線給電などに役立つ共振コンデンサーは7月から、共振インダクターは12月から受注開始する見込み。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車向けも提案する。採用実績のある電気自動車(EV)用コンデンサーも仕様を更新し供給を進める。

 自動車向け製品は安全面の条件を満たしながら引き続き「腰を据えて展開する」(矢﨑執行役員)。