2024.07.12 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組み TE Connectivity 白井浩史データ&デバイス事業部アドバンスドテクノロジーシニアディレクター

白井シニアディレクター

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AIアプリ構築貢献へ

ハイスピード対応品に注力

 TE Connectivity(日本法人=タイコエレクトロニクスジャパン)は、コネクター・センサーのグローバルソリューションプロバイダー。日本での事業展開は60年以上にわたり、あらゆる分野で顧客に価値あるソリューションを届けてきた。

 データ&デバイスのR&Dを担当する白井浩史アドバンスドテクノロジーシニアディレクターは「顧客のAI(人工知能)アプリケーション構築への貢献を目指した開発を強化している」と話し、データセンター(DC)の高いパフォーマンスを支えるハイスピード対応製品の開発に力を注いでいる。

 「最近のDC市場では、ラージランゲージモデルが知れ渡るようになり、AI関連の需要が急増している。以前からのエンタープライズDCも重要であるが、AI関連のシステムは特に著しい成長を遂げており、今後も注力する方針だ」(白井シニアディレクター)。

 同社データ&デバイスのハイスピード対応製品は、112ギガbps対応の量産が始まり、現在はAIアプリケーション向けに次世代の224ギガbps対応を中心とした開発を進めている。「当社では、2025年には、224ギガbps対応のケーブルアセンブリーやI/Oコネクター、ソケット、バックプレーンシステムなどを量産できる体制を整える計画」(白井シニアディレクター)。

 開発に当たっては、主要顧客であるハイパースケーラーなどの製品開発に的確に対応していくため、「ベースとなるGPUやCPUなどの半導体のスペックをいち早く取り込むための半導体メーカーとの連携を重視している」(白井シニアディレクター)。

 また、最近のAIサーバーなどではデバイスの大型化に伴う発熱課題に対処するため、デバイスを分けてケーブル接続する手法も増加しており、そのための高速伝送ケーブルの開発にも力を入れている。

 データ&デバイスではこれらの高速系製品に加えて、パワー系分野のバスバーや電源用ケーブルなどの開発にも力を入れており、「液冷対応のバスバー開発などもテーマに挙げている」(白井シニアディレクター)。

 データ&デバイスはグローバルな開発体制を構築している。開発拠点は、米国、中国、日本を中心に各国に存在し、グローバル連携での開発を推進。CPUソケット開発では、日本のチームが主導的な役割を果たしている。