2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】伯東 データセンターなどAI関連商材の販売に力

宮下 社長

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 伯東は半導体・電子部品、電子・電気機器(システム)、工業薬品の3事業が主力となる。宮下環社長は直近の市況について「今年度下期、あるいは年末から持ち直すという見解が一般的だったが、自動車・産業機械市場を中心に徐々に後ろ倒し感が出始めている」と分析。一方で「特需的な動きや新たな投資計画は、なんらかの形でAI(人工知能)革命に関連しているケースが多い」と説明する。

 引き続き、データセンター、自動運転、省力化機器などAIと関連のある商材の販売を強化する。自社ブランドのイオンビームエッチング装置の受注ペースはAI関連の需要を捉えており、例年を大きく上回る。

 昨年7月に開設した熊本サービスセンターは、現地に開発・製造拠点を構える企業との取引拡大を受けスタートしたが、世界最大手の半導体受託製造会社の日本法人などと取引を開始し増員した。

 海外戦略では、ASEANは新たな商材・エリア展開の両面で戦略強化を見据える。一方、中国では内製化の動向などを踏まえ、戦略アップデートの必要性を実感している。

 中期経営計画は最終年度を迎えた。前年度は自動車向け半導体の旺盛な需要、円安効果により目標値を上回った。引き続き収益構造の改革と有望分野への投資は重要なテーマだ。

 ROE(自己資本利益率)は8%以上の持続的達成が目標。宮下社長は「利益を上げることだけではなく効率を重視している。社内の意識改革を一層進めたい」と述べる。

 昨年度に新設した事業企画室は、新事業や新市場への進出を目的に資本提携、新技術関連の連携に関して社内外の相談窓口となる。事業横断的なクロスセルを強化し、事業部間の相乗効果を最大限に引き出すために最適なパートナーの発掘と連携を積極的に進める。

 宮下社長は4月にトップ就任。「社員の行動変容を支援し、いかに加速できるかが私の仕事だ。急激な変化、想定外の競争・共創が至るところで生まれている。社員が変化へ柔軟に対応できるように、また、さまざまなチャレンジができるよう信頼関係構築と環境整備を進めたい」と話す。