2024.07.26 【この一冊】「戦争語彙集」オスタップ・スリヴィンスキー作、ロバート・キャンベル訳著
ロシアの侵攻から逃れ、生死のはざまで語るウクライナ市民の証言を77の短編にした。
登場する語彙(ごい)は、スモモの木、結婚式、シャワーなど一見、平和な単語が並ぶ。それが爆撃や殺りくから持つ意味が一変する。シェルター代わりに身を守ってくれたバスタブ、身元不明遺体の墓標になった車のナンバープレート、小分けにされ支援物資に収められていたマーマレードなど、証言には生き残った証しと生身の感情が表れている。
作者の... (つづく)