2020.06.09 【ITサポートサービス特集】富士通コミュニケーションサービスニューノーマル時代のサポート検討

山本 社長

 富士通コミュニケーションサービスは、主力のコンタクトセンター事業で長年培ってきたノウハウを生かし、カスタマエクスペリエンス(CX=顧客経験価値)を向上するための付加価値の高いセンターサービスを進めてきているが、新型コロナウイルスの襲来を受け、新型コロナとともに生きていくニューノーマルの時代に合わせたサポートの検討を本格的に始めた。

 この数年は、商品やメーカーなどに対するロイヤルティ(忠誠心)を高める支援に取り組み、ロイヤルカスタマを増やすための独自指標「HC-X(ヒューマン・コンタクト・エクスペリエンス)」を開発し提案してきている。

 AI(人工知能)やチャットボットなど最新のデジタル技術を組み合わせたサービスの開発も進め、CXを高める付加価値の高いセンター運用の事例も増えてきていた。

 そうした中で新型コロナに遭遇した同社は、即座に安心と安全に配慮したセンター運用を始めた。

 実際、各社がテレワークなどを推進し、さらにコンタクトセンター企業はオペレータを減員した運用に切り替える中、同社は在宅勤務が難しいセンター内の感染防止策を打ち、3密を防ぎながらサービスレベルを下げない運用を開始した。

 山本享史社長は「センター内の人員を再配置するとともに席間の仕切り、換気など最大減の防止策を施しながら、サービスレベルを下げずに運用を継続した」と話す。

 今年2月に本社のある横浜・みなとみらい地区に新設した全国13カ所目となる新センター「横浜みなとみらいソリューションセンター・アネックス」も活用しながら最適なセンター運用を行った。

 今後、新型コロナの第2波なども想定される中で山本社長は「ニューノーマルが求められ顧客のニーズも変わってくる」とし、新たなセンター運用の検討も本格化する。

 コンタクトセンター人員の在宅化やサテライトセンターの運用にも取り組んでいく計画だ。

 同社はこれまでもIP(インターネットプロトコル)コンタクトセンターの展開などを図ってきているほか、16年度からはサテライトオフィスによるセンター運用も始めている。かつては在宅によるコンタクトセンター運用を行っていた経験もある。

 山本社長は「今まではセキュリティの観点から在宅勤務は敬遠されてきたが、企業の要望も変わってきた」としており、 今年9月ごろまでに複数企業のサポートを同時に請け負うシェアードのサービスを行うセンターで、在宅の運用を始められるようにする。

 「まず1、2社の対応を在宅でできるようにする」(山本社長)考えだ。

 併せてデジタル技術の活用も進める。電話対応の一部をチャットやチャットボットに切り替えていく。

 「特にコロナ禍で顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)がさらに進む」(山本社長)とし、今まで以上にCXが重要になるとみている。

 HC-Xなどを先導するサービスインテグレーション統括部が中心となって、ニューノーマル時代における顧客との接点を最適化する支援を加速させていく構えだ。