2024.08.01 ATW事業、欧州で強化 「地産地消」加速 三菱電機

家庭用ATWで豊富な製品群をそろえる(左が室外機、中央が室内機)

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 三菱電機は、水を使って冷暖房するATW(エア・トゥ・ウォーター)関連製品の開発と生産を強化し、欧州市場でシェア拡大を目指す。マザー工場の静岡製作所(静岡市駿河区)を軸に、仕向け先に近いトルコとスコットランドの工場で製品の地産地消と販売を加速させる。

 同社は2007年にATWを本格的に立ち上げ「ecodan(エコダン)」ブランドとして展開してきた。現在は静岡製作所をマザー工場にしながら、フランス・パリの開発拠点と連携し、スコットランドとトルコの工場でATW室内機と室外機を生産している。一部製品は中国やタイでも生産する。

 同社の家庭用ATWは、利用環境に合わせて選べる幅広い製品群が特徴だ。ATWだけでなく、ルームエアコンや地熱を利用したヒートポンプの組み合わせなど、欧州各国の空調事情に合わせた提案も可能だ。

 欧州の環境規制への対応にもいち早く取り組む。地球温暖化係数(GWP)の高いフロンガスの使用を制限するFガス規制が施行されている背景から、よりGWPの低い冷媒への移行も急務になっている。同社はGWPが低い自然冷媒のR290を使用した製品を23年に投入した。

 家庭用ATWは欧州のみで展開する。日本では、ATWと同じヒートポンプ技術を活用したエコキュートを展開していることから、開発は一体となって進めている。柳本圭ATW・給湯開発統括部長は「双方が連携しながら技術応用している」と話す。

 北欧や南欧など地域の特性に合わせた製品を用意し、住宅の規模や構造など、さまざまな環境に合わせて設置できる室内機は50種類以上に上る。

 今後はR290対応の製品を拡充しながら欧州市場でのシェア拡大を目指していく。砂田正和空調海外営業統括部長は「欧州に根付いた暖房文化を理解しながらエコダンが欧州で愛されるように開発を進めていきたい」と話している。

(2日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)