2024.08.26 【エレクトロニクスに貢献する化学材料特集】各社の事業戦略/主力製品 JFEケミカル

フェライトコア

高品質フェライトコアを安定供給

 JFEケミカルは、エレクトロニクス市場向けに、さまざまな機能性材料(精密化学品、フェライト、負極材など)を製造販売している。

 同社の精密化学品の基盤事業は、製鉄副産物であるコールタール中の希少成分を有効利用。インデン誘導体やフルオレン誘導体は光学樹脂、フォトレジスト材料向けに高い供給実績を持っている。

 さらに、芳香族化合物を活用した事業領域拡大に努めている。ポリイミド(PI)材料では、原料からポリイミド前駆体のワニスまで対応できる体制を取り、電子基板、複写機用ベルト、電池セパレーター・バインダー、およびEV(電気自動車)向けなどに展開する。フッ素化合物代替対応にも力を入れている。

 アセナフチレン等ビニル化合物や特殊フェノール樹脂、ベンゾオキサジン、ビスマレイミドなどは、高耐熱性と低誘電損失が求められる次世代通信規格、パワーデバイス封止材や高屈折素材などの最先端分野向けに需要の伸びが期待されることから、積極的な開発とアピールを推進していく。

 フェライトは、JFEスチールの製鉄所の製鉄工程で副生される酸化鉄を有効活用し、原料から製品までの一貫生産体制を整備し、高品質フェライトコアを安定供給している。

 現在は、電動車(EV/HEV/PHEV)などに搭載されるDC-DCコンバーターやインバーターなど、高特性が求められる車載市場への展開を強化しており、倉敷工場(岡山県倉敷市)のほか、海外工場のタイ工場と中国工場でも車載比率が増加している。

 負極材事業は、同社が独自製品と自負するハードカーボン負極材とニードルコークス系負極材を軸に、今後大きな需要増加が期待される車載リチウムイオン電池(LIB)や定置用蓄電池向けに事業を拡大していく方針。

 同社のハードカーボン負極材は、同社独自の技術によって優れた出力・耐久性などの性能を有しており、車載LIB市場向けなどに採用が進み、売り上げを拡大している。

 ニードルコークス系負極材は、中国宝武炭業との合弁事業「烏海宝傑新能源材料有限公司」に40%出資。2021年11月に稼働を開始し、現地の安価な電力代などの活用により、コスト競争力を有した負極材を生産している。

 また、今後は北米、インド市場などのEV需要への対応も検討していく。

 このほか、新たなシリコン系負極材の開発にも注力している。

 同社は、負極材ビジネスでは1990年代から民生LIB向けを中心として、長年にわたってLIB用負極材を手掛けてきたが、今後は付加価値の高い車載LIB向けや定置型蓄電池向けのビジネスを大きく拡大させていく。