2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 日立ソリューションズ・山本二雄社長

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SXの取り組みが定着
海外の先端商材投入で成果

 2024年度は持続可能な社会に貢献する「サステナビリティートランスフォーメーション(SX)」を掲げた中期経営計画の最終年度になる。海外の先進ソリューションを組み合わせたマネージドサービスやセキュリティーをはじめとしたデジタルエンジニアリングを加速させ、日立製作所グループで推進するデジタル基盤「ルマーダ」事業を強化するとともに、生成AI(人工知能)に本格的に取り組んでいく。同時にグローバル事業を拡大させる。

 23年度は主要顧客の製造、流通、通信業の底堅い需要に支えられ売り上げ3981億円、営業利益442億円と市場成長以上の結果を残せた。北米や欧州の海外の景気悪化でグローバルは横ばいだったが、国内は、クラウドをはじめ独自のポイント管理や海外ソリューション、セキュリティーが好調に推移した。データドリブン経営の一環で進めた営業支援基盤が受注拡大を後押しし収益に貢献したとみている。

 24年度はルマーダの起点となるデジタルエンジニアリングの領域で、セキュリティーやAIを中心にコンサルティングを強化する。AI領域では新たにAIトランスフォーメーション推進本部を新設した。DXの一環として、①ソリューションの高度化②社内業務効率化③開発業務効率化④リスク管理・ガバナンス―の四つを重点施策として取り組んでいく。

 社内業務の効率化ではAllganize社の基盤を使い自律的な生成AI利用環境を構築し間接業務の削減に取り組み始めたほか、システムのAIリスクを検出する仕組みを作り活用を進める。開発プロセスへの適用では日立と連携する。生成AIを活用しソリューションの高度化も進め、今年度は既に月約20件のペースで案件を獲得できている。今後もさらに増やしていく。

 グローバルは欧米の市場環境は良くないものの、マイクロソフトとの連携を強化しながらDXやクラウドを強化していく。海外の先端商材をいち早く日本市場に投入する取り組みも進んでいる。契約は累計75社になり23年度は237億円まで拡大。この5年で売り上げは2倍以上になった。今年度は5社と契約する計画で260億円以上を目指す。

 SXは23年度までに定めたミッション・ビジョン・バリューと11のマテリアリティー(重要課題)のもと、活動を定着させる。国内でのサービス事業を創生するための施策も始める。社名の通り自社ソリューションを作っていく必要があるため、外部の力を借りながら新ソリューションの事業化を進める。SXの取り組みは定着し社員自らがSXを意識して動いてくれるようになったと感じる。さらに活動を強化していきたい。