2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 三菱電機インフォメーションシステムズ・中野隆雅社長

データ利活用分野強化
AI技術でスマート工場化

 国内のICT市場は、引き続き堅調に推移している。中でも当社がターゲットとしているネットワーク関連は、更改案件が活発だ。当社の2024年度業績も、引き続き23年度の好調を維持し、増収増益基調で推移している。特に生産性の改善で、収益性が向上している。三菱電機グループのDX化も業績に寄与している。

 製造業分野は、基幹のSAP事業をコア事業として取り組んでいる。SAP案件は、クラウド基盤の「S/4 HANA」への移行が進み、需要が拡大している。コアのSAP事業に注力しながら、工場システムのDX化などデータの見える化、利活用分野を強化している。三菱電機の各工場の業務DXに参画することで得たデータ利活用の知見などをソリューション提案に生かしている。

 MES(製造実行システム)分野では、「MELNAVI」を提供している。近年、非常に好調だ。生産データと経営データを融合させたMES分野は当社の強みとして引き続き強化する。対象も中堅企業だけでなく、大手企業にも拡大していく。

 スマート工場化では、三菱電機のAI(人工知能)技術を基に、当社が開発した映像解析ソリューション「kizkia」と、工場に設置するエッジパソコンなどの機器で構成、工場の巡回点検業務の効率化を実現できるソリューションとして「スマート工場ソリューション kizkia-Meter」を提供している。

 カーボンニュートラル推進の基盤として、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を効率的に見える化するクラウドサービス「cocono(ココノ)」などが好評だ。

 金融業分野は、拠点の統廃合、移動などに伴いセキュリティーやネットワーク更新需要などが堅調だ。業務の効率化、コンプライアンスの強化などの需要も活発だ。電話をかけるだけで、簡単に本人認証ができるクラウドサービスなどに注力しているが、今後は、音声だけなく、感情分析もソリューションとして提供を考えている。金融業で培ってきたセキュリティー、ネットワーク技術を生かした付加価値ソリューションを、他の分野にも応用展開していく。

 DX化を背景にクラウドシフトが進むが、グループ会社「クラウドセントリック」社を中心に技術面含め、強化していく。

 このほか、サイバー攻撃などセキュリティー対策で、米Splunk社の「Splunk Enterprise」を採用した「MDIS セキュリティログ分析サービス」を11月から提供開始する。

 今後も業種に特化せず、当社の強みとする金融、製造業を横串で展開するソリューションサービス分野を強化していく。