2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 リコージャパン・笠井徹社長兼CEO

デジタルサービス拡大
AIとセキュリティー強化

 リコーは「OAメーカーからデジタルサービスの会社への変革」実現に向け、デジタルサービス分野を強化し、2023年度で49%だったデジタルサービスの売上比率を25年度には60%超を計画している。当社は、このけん引役を担っている。

 主要戦略としては「業種業務課題を解決するデジタルサービス事業の拡大」「地域・社会課題解決に向けた価値提供領域の拡大」「高効率な市場カバレッジ体制の再構築」「課題創造型体質への変革に向けたデジタル人財への投資拡大」「社内DXの加速と経営品質の向上」に取り組んでいる。

 特に24年度は、お客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するため、「AI(人工知能)」「セキュリティー」領域を強化、また、社内実践を踏まえた「脱炭素ソリューション」の提供に力を入れる。

 7月にオンライン形式で開催した「RICHO Value Precision」では、延べ3万人超が視聴した。DX、特にAI、セキュリティーへの関心が高く、GX(グリーントランスフォーメーション)の情報へのニーズも高かった。

 AIでは、お客さまに寄り添い、お客さまが「使える・使いこなせるAI」を提供していく。当社の調査では、7割強のお客さまはAIを未導入だった。導入の障壁は「活用方法が不明瞭」「社内の理解や人材不足」が挙げられる。当社では、自社開発のアプリケーションやパートナー製品など、さまざまなAIソリューションの社内実践やお客さま支援を通じてユースケースの創出に取り組んでいる。AI導入の前提となる情報や業務プロセスのデジタル化やデータ整備、AIの使いこなしなどを伴走サービス型でサポートしていく。リコーでは、日英中の3言語に対応した700億パラメーターの大規模言語モデル(LLM)を開発した。

 AIの導入とともに、ますますセキュリティーの重要性が増している。ポリシーの策定、ソリューションの導入・構築・運用、施策のチェック・見直しまでお客の対応状況に寄り添う伴走型のセキュリティーサービスの提供に力を入れたい。最新のセキュリティーソリューションとオンサイト保守で、最適な形の多層防御によるセキュリティー対策を提案していく。

 GXでは、新規事業所のZEB(脱炭素実践事業所)化を推進し、省エネ・脱炭素化を促進。現在、脱炭素の実現と同時に働きやすさを追求した事業所を全国17カ所で公開している。脱炭素ソリューションとして、「ロードマップや戦略の作成・策定」「エネルギー活用の設備導入・運用」「助成金・補助金の申請サポート」など幅広く支援していく。