2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 日立システムズ・柴原節男社長

▶画像ギャラリーへ

生成AIの活用本格化
短期・低価格導入パック発売

 2023年度は前年同期比8%増収となり国内IT市場よりも高い成長ができた。営業利益も同13%増で過去最高となり営業利益率11.8%を確保した。企業のITシステムのモダナイゼーション(近代化)の案件が増えたほか、官公庁の大型案件の受注も好業績を後押しした。

 24年度を最終とする今中期経営計画はデジタルトランスフォーメーション(DX)支援と、カーボンニュートラルの観点からグリーントランスフォーメーション(GX)の支援に取り組んできた。中でも全国拠点などのサービスインフラを活用したマネージドサービスの強化を進めている。システムの運用や保守などを含めたサービス事業が全体の6割を占めるまでになった。

 今年度はモダナイゼーションとマネージドサービスを強化していく。自治体情報システム標準化は26年3月までにガバメントクラウドへ移行しなければならないため、来年度までがピークになる。エンジニア不足に対応するため自治体向けのクラウド移行と運用、ネットワーク関連の支援サービスを始めた。期限内にクラウド移行できるよう支援するもので、当社以外の業務システムを運用している自治体の支援もしていく。

 日立グループで展開するデジタル基盤「ルマーダ」も産業分野で適用が進む。製造などの顧客の課題に対して営業ととともに提案しており、どのソリューションが売れ筋か、どの部門で提案しているか、といった状況も可視化している。顧客へ最適な提案をするGo-To-Market活動も成果になっている。

 今年は生成AI(人工知能)の活用を本格化した。4月にAI活用ビジネス推進本部を新設し社内業務に適用を始めたほか、生成AIを短期間低価格で導入できる「おてがる生成AIパック」を発売。240社から引き合いがあるなど関心は高い。今後は顧客の業務知識を個別の環境で活用できるようにしたい。

 GXは日立グループ全体で取り組んでいる。エネルギー関連を手掛けるグループ会社とエネルギーマネジメントの取り組みを進めるほか、カーボンクレジットの創出に向けパートナー連携を始めている。GX関連事業は24年度に45億円規模だが、今後大きく伸びると期待している。

 今年度は海外事業を見直す。国内はマネージドサービスに向け取り組みが強化できている半面、海外はサービス化が遅れている。マネジメントの変更も含めて行い次期中計に向けた基礎をつくる。グローバルで展開するSOC(セキュリティー運用センター)のサービスも軌道に乗せたい。海外を含め日立グループ会社のセキュリティー対応も当社側で支援できるようにもしていく。