2024.09.20 【電子部品メーカー/商社 ASEAN特集】オカヤ エレクトリック シンガポール 岡谷電機産業 地元メーカーへの拡販にも注力

米山 社長

 岡谷電機産業の販売会社オカヤ エレクトリック シンガポールは1995年設立。別販社としてオカヤ エレクトリック タイランドを2013年より置くタイを除き、東南アジア全域の顧客に対応している。

 日系企業に加え地元メーカーへの拡販にも注力している。米山剛社長は「自社で設計から生産までできる企業の多いマレーシア」を有望とみる。

 同社の売り上げの8割を占める顧客は日系メーカーとなっており、残り2割が地元メーカー。取扱品目はフィルムコンデンサーが6~7割、ノイズフィルターや電源用コイルが2割、サージアブソーバーが1割という構成だ。

 コンデンサーなどを中心に新型コロナウイルス感染症流行下の2021~22年に電子部品の入手難などから数多く注文があり、シンガポール拠点の売り上げは22年度にピークに達した。

 23年度は後半以降景気低迷に伴う需要減少などの影響で前年度を下回り、24年度は8月が終わった段階で前年比6割となっている。

 25年度は顧客の所要回復、新規顧客開拓などで新型コロナ禍以前の水準まで戻したい意向だ。

 オカヤ エレクトリック シンガポールが注目しているマレーシアは米中摩擦を背景に欧米の半導体大手が北部ペナンなどに工場を設立、周辺に後工程、前工程の機器を手掛ける地元中小メーカーが蝟集(いしゅう)する。

 同地ではコンデンサーをはじめ、ノイズフィルター、サージアブソーバー複合品であるサージプロテクターの拡販を狙っている。

 地元メーカーを開拓していくためにも、販売協力する地元ディストリビューターの中で技術的な知識の高い企業を選定した上で関係を強化する方針だ。

 米中摩擦下でも既存顧客が中国からASEANへ全面移管する、というところまでの動きは「まだそれほど出ていない」(米山氏)点も注視している。

 24、25年の東南アジアの実質GDP成長は4.6%、という予測もあるが、顧客やディストリビューターとの情報交換では一部に温度差を感じる声も聞こえている。

 空調機器など低価格な中国製品の影響も感じている。