2024.09.26 外装に本物の木材、建築家コラボの空気清浄機 シャープ、10月発売へ

上質な空間との調和を目指し2年半かけて開発した新製品

木材を使ったデザインとプラズマクラスター空清の両立を図った木材を使ったデザインとプラズマクラスター空清の両立を図った

木材使った空清で新たな価値提供を目指す沖津社長(中央右)とデザインを手がけた隈氏(中央左)木材使った空清で新たな価値提供を目指す沖津社長(中央右)とデザインを手がけた隈氏(中央左)

 シャープは26日、外装に本物の木材を使用した家具のようなプラズマクラスター空気清浄機を発表した。隈研吾建築都市設計事務所(KKAA)がデザインし、日本の伝統的な意匠である竹の簾(すだれ)のような「簾虫籠(すむしこ)」や「障子」から着想した、細かな木の縦格子を外装に採用。開発に2年半をかけた新製品は、これまでにない高級家電と位置づけ法人ルートで販売していく。価格は税込み55万円で10月21日から発売する。

 「機能や性能向上だけでなく、デザインも含めて多様化するニーズに応え、家電の新たな価値を見出していきたい」。

 都内の新製品発表会で沖津雅浩社長兼CEOは、これからの家電の方向をこう強調した。

 新製品は、沖津社長が白物家電の本部長を務めていた2022年にKKAAと始めたプロジェクトから生まれた最初の製品。両者のプロジェクトは、建築家の隈研吾氏がシャープのプラズマクラスター空清をコロナ禍で事務所に設置したのが始まりで、隈氏は「自然の力を応用したプラズマクラスター技術に感銘を受け、空気の質に見合った外観を作ることで新たな製品が生まれると感じた」と話す。開発に当たりKKAAがデザイン案を出し、シャープの開発陣と試行錯誤を繰り返して空清との融合を図っていった。

 新製品は本物の木材を使うことから、創業111年の老舗木材工業の岡崎木材工業と協業。本体は細かな縦格子を採用した全ての面が同じ見え方になるデザイン。格子は、硬くて丈夫なホワイトオーク無垢材を100分の1ミリメートル単位で角度を調整し、木工職人が手作業で組み上げた。

 天面は厚さ0.6ミリメートルの突板を6枚異なる角度で貼り合わせる工法で、美しい木目と耐久性を両立。花房浩章国内PCI商品企画部長は「木材は一つとして同じものがない。家具のように長く愛着を持って使ってもらえるようにした」と話す。

 空気清浄機の基本機能も追求。プラズマクラスターを搭載し、集塵と脱臭に特化した高性能フィルターを配備した。静電HEPAフィルターとダブル脱臭フィルターは10年間交換不要だ。

 今回、きれいな空気を4方向に送り出す新技術を開発し、デザインと性能を両立。運転音も静音モードで20デシベルを実現し、最大40畳まで対応できる。足元を照らすフットライトも付けた。無線LANにも対応し空気情報や消耗品情報の収集や遠隔操作もできる。

 職人による生産のため、月産最大100台を目指す。デザインを監修した隈氏は「家具を超えた素晴らしい製品になった」と評価し、「日本の指物師の技術に、難しかった空気の流れを組み合わせられた。日本の家電に新しい1ページが刻めた」と述べた。

 シャープは今後もKKAAとのプロジェクトを継続する考えで、他の家電への展開なども検討していくという。