2020.06.22 【九州・山口版】有力IT企業の取り組み BCC
田中 社長
チャットボット積極展開
コロナ禍の中、デジタルシフトは急速に進み、企業内のDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル変革)は5年分早く進んだとも言われる。BCC(福岡市中央区、田中功社長)は福岡でいち早くAI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、チャットボットに取り組んできた。特にAIとチャットボットは自社のサービスとして積極的に展開している。
今春、福岡市が全国で初めて立ち上げた「引越し手続きのオンライン予約サービス」内では、同社が新たに開発したチャットボット「えらぼっと」が使用されている。
福岡市が進める「スマート行政」の一環で、スマートフォンなどから引っ越し先の住所や氏名などを事前に送信すると、来庁時に短時間で手続きが完了するオンラインサービス。引っ越し手続きには様々な申請が必要だが、事前に申請をチャットボットで受け、必要な入力画面まで案内することで手続きを簡素化、スムーズな誘導を実現している。
サービスのスタートと同時期に新型コロナウイルスの感染が拡大したが、利用は数日で140件に上ったという。毎年混み合う区役所の窓口で、滞在時間や待ち時間の短縮につながったほか、遠隔地からの手続きでもワンストップで進められる。
定型的なやりとりであればチャットボットで簡単に実現できるため、このほかにもコールセンター向け、社内管理部門に対応する問い合わせ向けなどでも多くの発注を受けている。
チャットボットのサービス自体は全国で増えているが、その中でもBCCはクラウドだけでなく、オンプレミス(自社運用)でも稼働できる機能を持ち、差別化を図っている。クラウドに抵抗を感じる企業もあり、個別に対応している。
また、利用者や問い合わせの傾向、回答の精度などのデータを可視化、分析し、さらなる改善につなげる管理機能が備わっていることも評価されている。
業務用途に応えるにはノウハウをどのように蓄積していくかがポイントで、この精度をどう上げていくかが課題になる。回答の選択肢をあらかじめ用意した選択型チャットボット「えらぼっと」は、福岡市で採用されたものと同様に、事務手続き申請など定型的だが収集する情報が多いケースでは、特に高い利便性を発揮する。
一問一答型のチャットボット「きいちゃってん」とともに技術力を生かし、利用形態に応じて臨機応変に提案できるのもBCCの強みだ。
今年度はチャットボットを中心にしていくほか、顔認証を活用した来場分析なども展開の予定。個人を特定するのではなく年齢層など来場傾向を分析し、集客や販売向けのサービスを想定している。