2020.06.22 【九州・山口版】有力IT企業の取り組み KIS

坂田取締役・東京支社長(左)と経営管理本部の日迫部長

 テレワークとIoTで貢献

 KIS(熊本市南区、高浜辰也社長)は6月に50周年を迎えた。早くから取り組んできたテレワークと、SCソリューション事業部が取り組む「KISスマートファクトリーソリューション(KSFS)」で、50周年分の感謝を込めた地域貢献を目指している。

 テレワークは16年の熊本震災後にBCP対策を兼ねて取り組みを始め、17年から介護や子育てなどの希望者を対象に一部でスタート。20年度から全社員が日数の制限なく在宅勤務可能な体制となっている。

 テレワークといっても、在宅勤務だけでなくコワーキングスペースの利用やモバイルワークなど形態は多様。セキュリティ対策は3段階に分けてファイアウオールなどを設けているほか、セキュリティの行動原則について毎年、社員向けにテストを実施。同社はプライバシーマークも取得している。

 こうした社内で培ったノウハウを基に、営業部門がパッケージやツールを拡販。問い合わせも来ており、実際に使ってみた経験値を活用し、会社全体でアプローチしている。

 熊本ではいち早く、3年ほど前にセミナーで提案した時はあまり反響がなかったが、経営管理本部の日迫健部長は「地震や感染拡大などで皆さんの感覚が変わってきた」とみている。

 社内では会議などにTeamsを利用、薄くなりがちなコミュニケーションをチャットなどでカバー。営業もモバイルで日誌の記入や顧客に見せる資料も閲覧でき、スピーディに活動できる。

 これから導入へさらに拍車がかかるとみられるが、使ってみて良いもの、使いやすいものを提案していく。

 製造業をターゲットにしているSCソリューション事業部は18、19年度、県内のIoT企業向けの「熊本県地域経済牽引事業」の補助金を得て開発に取り組んできた。

 20年度は今までのソリューションを土台に、新たなサービスビジネスを展開しようとしている。

 ソリューションの中核となるのが「KSFS」だ。特にアナログメーターの数値をデジタルへ置き換える「C-Sight」は注目を集めている。

 地域の中小企業向けに価格を抑え、サンプル出荷で得たデータは同社クラウドで解析。稼働管理(EMS)に反映して予知保全など、さらにソリューションへ生かそうとしている。同社データセンターにも導入し、状態管理の省人化や早期発見への活用を想定している。

 産学官連携では、崇城大学や熊本県産業技術センターなどと協力している。坂田芳興取締役・東京支社長は「もう少し実証実験を増やしたいが、中小企業は投資資金が少ないので、補助金などの情報も提供したい」と、地域への貢献へ尽力する。

 テレワークとⅠoTやAI(人工知能)、どちらも単に導入したからといって、すぐに効果につながるわけではない。同社では導入目的をユーザーと共有するためのコンサルティングを重視し、ワンストップで行えるトータルソリューションを提供していく。