2024.12.11 【セミコンジャパン2024特集】田中貴金属〈紙上参加〉 ダイボンド用導電性銀接着剤、高熱伝導と高信頼性実現

ダイボンド用銀接着剤

 田中貴金属は、半導体で用いる貴金属素材を幅広く取り扱う世界的にも珍しい貴金属メーカーだ。1964年に半導体実装に使う金ワイヤを初めて国産化して以来、同分野の技術発展に貢献。現在は金ワイヤだけでなく銅、銀、アルミなど各種ワイヤを量産供給している。

 注力するダイボンド用導電性銀接着剤は高熱伝導と高信頼性を両立したハイブリッド接合タイプが強みだ。

 パワーデバイス用シリコン(Si)製品では鉛はんだ代替として採用実績がある。今後は車載や通信向け半導体のシリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)製品での採用も期待して、顧客ニーズを満たすハイブリッド接合タイプと200W/m・K超の高熱伝導シンタリングタイプのラインアップ充実を図り、製品開発を進めていく。

 高電圧に耐え高電流を制御するパワーデバイスは、電動車(xEV)をはじめ産業機械、鉄道、重電でも欠かせない。省電力の観点からパソコンやスマートフォン、テレビ、エアコン、人工衛星、通信基地局で需要が高まっている。

 各部材で小型化に対応する材料開発が重要となり、同時にパワー性能を生かすため低抵抗、放熱対策を求める声も増していく。同分野向けに貴金属の潜在能力を最大限生かすほか、貴金属以外の元素でも長年培った加工技術を応用した製品を開発する方針だ。

 希少な貴金属を取り扱う同社は地球への貢献とともに、重要な事業課題として事業の持続可能性を高めるサーキュラーエコノミーの実現に取り組む。

 環境負荷軽減と持続可能で効率的な利用を実現するため、100%リサイクル由来の金材料を用いた「REシリーズ」でボンディングワイヤやめっき液を展開しており、環境省推奨のグリーン調達に貢献する。