2024.12.25 【解説】最先端半導体製造を支えるプロセス制御機器
セミコンジャパンに出展されたD700シリーズ
半導体の製造工程ではさまざまな半導体材料を使用する。その中にはガスや薬液などのプロセス材も含まれ、投入のタイミングや分量を緻密に制御する必要がある。製造工程が高度化・複雑化する最先端半導体製造においては、従来の半導体製造以上の精度が要求される。今回は半導体製造におけるプロセス材の制御を担う機器について紹介する。
堀場製作所グループで半導体事業を担う堀場エステックは、ガスや薬液などのプロセス材を制御する流体計測・制御機器をはじめ幅広い製品を提供している。同社の主力製品であるマスフローコントローラは、流体の質量流量を計測し流体制御を行う機器。世界シェア60%を誇り、さまざまなガス種に対応する。最先端半導体では小流量の計測・制御が必要。最先端半導体プロセス向けには、微細加工プロセスにおける小流量域の制御に特化した高性能モデル「D700μF」を提案している。小流量でのガス制御を可能にし、微妙な調整が求められるプロセスに最適だ。100ミリ秒以下の高速応答性能を備え、高い生産性とプロセス性能の向上に貢献する。
10ナノメートル幅の先端プロセス向けには「DZ100シリーズ」を提案。従来モデルを3分の1に小型化した10ミリメートル幅の超薄型差圧式マスフローモジュール。来年前半には高精度な同期制御に対応できるイーサキャット通信モデルを追加する。併せてフルスケール流量(1分間の流量)を数リットルから最大20リットルに拡大する。微細化や3次元集積化が進む先端半導体製造においてガス制御は非常に重要。同社のマスフローコントローラは均一なガス分布を実現する。
今月、東京都内で開催されたセミコンジャパンにおいても、最先端半導体製造を支える各種装置が紹介された。今回は、堀場製作所グループとして出展。「分析×制御でつくる、持続可能な未来」をテーマに、先端材料向けやガス流量制御、環境保護などを対象に新製品、発売予定の製品を多数ラインアップした。先端素材の研究開発向けには、レーザー回折・動的画像式粒子径・形状解析装置「Partica(パーティカ)」を紹介したほか、走査型プローブ顕微鏡(SPM)―ラマン分光複合装置「Sigunature(シグネチャー)SPM」などを展示し、来場者に訴求した。
同社グループの強みは研究開発から量産まで半導体製造を支える総合力。最先端半導体の製造を支えるプロセス材制御機器に加え、微細化や先進パッケージ技術などの技術革新に注目し、新たなプロセスに最適なソリューションを提案していく。