2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 富士フイルム 山元正人取締役専務執行役員イメージングソリューション事業部長
山元 専務
1億画素の世界を訴求
フィルムメーカーの強み生かす
世界のデジタルカメラ市場はコロナ禍後に再び成長軌道に乗り、ミラーレス一眼カメラを中心に2桁の成長を続けている。日米欧とも順調に拡大しているが、中国が大きく伸長し20~30代の若い世代の新規購入層も増えている。スマートフォンからデジタルカメラにステップアップする層も着実に増えている。中でも当社は市場以上の成長ができており、ニーズに合った製品が投入できた成果だと感じている。
当社は高級コンパクトデジタルカメラ「X100Ⅵ」を2024年3月に発売したのを皮切りに、6月には35㎜フルサイズの約1.7倍のラージフォーマットセンサー搭載のデジタルミラーレス一眼カメラ上級機の「GFX100S Ⅱ」と、小型で幅広い層で使える軽量ミラーレス一眼カメラ「X-T50」を発売。11月下旬からはXシリーズで最軽量となる約355グラムのボディーを実現した最新モデル「X-M5」を発売した。
X100Ⅵは前世代モデルの2倍の需要を想定し生産を構えたが、はるかに上回る注文が入り発売後も大ヒット。当社はフィルムメーカーの強みを生かし写真フィルムを交換する感覚で色調表現を楽しめる独自の「フィルムシミュレーション」が強みだ。
X-T50でフィルムシミュレーションを簡単に切り替えられるダイヤルを初めて搭載し20~30代の女性にも評価を得た。今回、M5にもフィルムシミュレーションダイヤルを付けるとともに1台で静止画も動画も高画質で撮影できるようにした。Vロガーからも注目され好調な滑り出しをみせている。
ラージフォーマットの1億画素の世界を実現したGFXシリーズは、実際に体感すると良さが分かってもらえる。今回、GFX100S Ⅱの発売に合わせ、いち早く体験できるイベント「Hello GFX」を全国で開催。非常に好評で新規ユーザーの獲得につなげることができた。当社は新製品の発表イベントをはじめ、写真展などの協賛を進め、ブランド浸透に取り組んできた。GFXでクリエーターを支援するプログラムも4年に。こうした地道な活動がブランド力の向上に寄与してきている。
インスタントカメラのinstax〝チェキ〟も好調だ。普及機に加えmini 99や、デジタルとアナログのハイブリッドのmini Evoといった中上級モデルが好調で男性層にも広がりをみせている。アナログカメラの良さに着目する若者層が増えていることもありチェキとデジタルカメラを両方持つ人も出ている。まさしく富士フイルムの世界感で引き続き両面で提案していきたい。
25年もデジタルカメラ市場はグローバルで成長していくとみる。外出や観光が増え、さまざまな体験が増えると、必ずカメラで記録を残したくなる。スマホと違う、より高画質な写真を求める声に応えられる製品開発をしていきたい。今年は当社初となる映像制作用カメラ「GFX ETERNA(エターナ)」を投入し新たな分野にも入っていく。デジタルカメラもラインアップを拡充し市場ニーズに応えた当社ファンになってもらえる製品展開を進めていきたい。