2025.01.09 【電子部品総合特集】電子部品世界需要、25年春以降回復期待
生産額7%増の22.8兆ドル
AIやADAS関連拡大JEITA予測
電子部品の2024年の世界需要は、低調だった23年からは回復したが、分野により回復度合いはまちまちだった。スマートフォンやHDDなどのICT関連の回復が見られた一方、産機市場は調整局面が続き、車載もEV(電気自動車)市場鈍化と世界的な新車販売減速により想定を下回った。地域別では中国低迷に加え欧州経済悪化も目立った。25年の電子部品需要は、序盤は産機や車載市場の停滞が見込まれるが、春以降、徐々に回復に向かうことが期待される。AI(人工知能)関連は25年も好調な拡大が見込まれ、25年トータルでの電子部品世界需要は着実な成長が予想されている。
電子部品の世界市場は、20年は新型コロナの影響で年前半は低迷したが、在宅/リモート関連でのパソコン(PC)やタブレット、ゲーム機需要が増大し、年央以降は米中を中心とした自動車生産回復も進んだ結果、20年トータルの電子部品世界市場は19年比微減にとどまった。
21年は前年後半からの回復基調が継続し、当初の想定を上振れるペースで受注が拡大。特に車載や産機向けの受注が好調に拡大した。春先以降、中国系スマホの生産調整が続いたが、欧米系ハイエンドスマホなどの部品需要は底堅く推移した。秋以降は半導体不足に伴う自動車減産なども相次ぎ発表されたが、部品ユーザーのBCP在庫積み増しが進んだことで、高水準の部品受注が継続した。
22年の電子部品市場も、年前半は前年までの流れが継続し、堅調な受注状況が続いた。加えて、春以降に進んだ為替の対米円安進行や、前年来の部品各社の高水準の受注残もあり、22年度上期の電子部品各社の決算は大幅な増収増益となった企業が多い。
半面、半導体・材料不足の長期化やロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格高騰、物流逼迫(ひっぱく)などが電子部品各社の事業にも影響を与えた。22年後半に入ると電子部品受注は陰りが見られるようになり、特に民生機器向けの低迷が続いたほか、好調だった産機関連も弱含むようになった。
23年に入ると、部品需要の減速が一段と鮮明になり、民生・産機向け中心に低調な受注状況が続いた。コロナが終息し世界経済の正常化が進んだ一方で、コロナ特需からの反動減や中国経済停滞による設備投資需要減速、半導体投資の減少、部品ユーザーの在庫積み増しの反動などにより、車載以外の部品受注は低調に推移した。23年度上期の部品各社の業績は、高水準の受注残や歴史的な円安などを背景に売上高は比較的堅調だったが、営業利益は大幅な減益となった企業が多い。それでも、車載需要は比較的堅調に推移したため、得意分野に違いによって各社の業績の格差が広がった。
サーバー関連増加
24年の電子部品市場は、スマホやタブレット、ノートPCなどの民生用IT機器需要が回復傾向となり、生成AIの広がりに伴いサーバー/データセンター関連の部品需要は大きく増加した。一方で、FA関連や半導体製造装置などの産機向けは調整局面が継続。車載向けも、EVの成長鈍化や高インフレによる世界的な新車販売減速により、想定を下回る推移となった。特に産機系は当初は24年秋口以降、徐々に回復に向かうことが予想されていたが、直近でも厳しさが続いている。
25年の電子部品市場は、年序盤は産機市場の調整継続や車載需要の弱含みなどにより、やや低調な推移が見込まれているが、春から夏にかけて徐々に立ち上がり、年後半に向け、成長回帰が予想されている。
分野別では、AIサーバー/データセンター向けのさらなる成長が期待されるほか、AIスマホやAIパソコンなどのエッジAI端末の増加、ADAS/自動運転技術の高度化による付加価値の高い電子部品需要の増加が期待される。特に民生系ではウィンドウズ10サポート終了を前に年前半にはノートPC生産が大きく増加することが期待される。FA関連も25年中には調整一巡からの成長回帰が見込まれる。足元ではやや弱い動きとなっている再生可能エネルギー関連や、産業用ロボットなどの需要反転も期待されている。
電子情報技術産業協会(JEITA)の予測によると、24年の電子部品世界生産額(見込み)は前年比1%増の21兆4100億ドルとなり、当初の予測を下回る結果となった。
25年の電子部品生産生産額見通しは前年比7%増の22兆8200億ドル。AIやADAS関連の需要拡大や、家電・産機向けの回復による需要押し上げが期待されている。成長をサポートする。
世界の電子部品市場で約33%のシェアを持つ日系電子部品メーカーの24年のグローバル生産額見込み(国内生産+海外生産)は、22年比6%増の10兆5601億円。24年のグローバル生産額見通しは、23年度比6%増の11兆2142億円が予測されている。
国内生産額7%増
24年の国内生産額見込みは、22年比7%増の3兆3732億円。25年は24年比7%増の3兆5965億円が予測されている。