2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 ヒロセ電機 石井和徳社長
石井 社長
技術開発力・人財力など強化
2024年を振り返るとコンシューマー系はAI(人工知能)の台頭で新たなステージに入った。電子部品サイドから見ると、AIが刺激を与え部品市場を活性化させている。車載市場は、最近は揺り戻しでEV(電気自動車)オンリーではない流れがきており、自動車全体の生産台数もそれほど伸びてはいないが、自動運転を含む多くの技術変化点が生まれ、台数は横ばいでもわれわれが成長を目指せる環境になっている。産機市場は、底打ちはしたが本格回復時期が遅延している。
全体としては、われわれのつなぐビジネスから見るとデータの大容量化が進み、各アプリケーションで「省エネ」「ハイパワー」「高密度」「高速」などの変化が起き、コネクションに変化を与えた。そうした変化をいかにキャッチアップするかがテーマの1年だった。
25年は、産機系がどこまで回復するかがポイント。当社は売り上げに占める産機の比率が高いため、産機の回復が期待通りに進めば、25年度は全体でもそこそこの安定成長が期待できると思う。
25年度も経営戦略の基本方針は変わらない。最も重視するのは技術開発力の強化。そしてモノづくり力、人財力を強化する。これらに継続的に取り組み成長路線を続ける。
技術開発では、既存事業は業界のトレンドを捉えながら継続フォローする。当社は各事業がバランスよく事業横断的にフォローできる体制が取れている。車載事業でのICT技術の活用や、コンシューマー系事業での高信頼性技術の活用などが進み、分野横断的なソリューションが強みだ。引き続き技術開発力の向上に努める。
モノづくり力向上は中長期視点でしっかり取り組み、グローバルで安定供給できる強みをさらに強化する。変化が激しく競争も厳しい時代に対応するため、人財強化に努め、プロフェッショナル化していく。当社の生命線は人財であり、積極的に投資する。
24年は生産設備開発拠点「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)、新郡山工場(福島県郡山市)が竣工(しゅんこう)し、韓国ヒロセコリア新R&D棟も完成した。25年度はこれらが本格稼働に入る年。しっかりと対応していく。