2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 TDK 齋藤昇社長
齋藤 社長
フェライトツリーの進化掲げる
2024年5月に24年度からの新中期経営計画(3カ年)と長期ビジョン「TDK Transformation」を発表した。変化が激しい時代だが、長期の観点でTDKがどういう会社になりたいのか、どういう会社になるべきなのかを時間をかけて議論し、当社として初めて長期ビジョンを策定した。
長期ビジョンには二つの思いを込めている。一つ目は「社会のトランスフォーメーションへの貢献」。長期的に進化し続ける社会の変革に対し、当社のコアテクノロジーでしっかりと貢献していく。二つ目は、社会のトランスフォーメーションに貢献していくには私たち自身もトランスフォームし続けないといけないということ。「変わり続ける」ことが当社の長期での姿となる。このビジョンからバックキャストして中計を策定した。
新中計では、「フェライトツリーの進化(未財務資本の強化)」を方針の一つに掲げた。未財務資本には人的資本、技術資本、組織力、顧客基盤などがあり、これらがフェライトツリーの根となり、しっかりと養分を吸い上げていくことでフェライトツリーを中長期で成長させていく。最も重要なのは人的資本。そのために従業員エンゲージメントも重視する。
25年の事業戦略として、バッテリー事業は世界ナンバーワンポジションを維持していく。小型バッテリーはシリコン負極の第3世代品を今年中ごろに投入予定。中国CATLとの合弁の中型電池事業も順調に進捗(しんちょく)している。
受動部品事業は、北上工場(岩手県北上市)新製造棟が24年に稼働した。スケールメリットを生かし、生産性や品質改善を図りながらxEVのトレンドに対応していく。
センサ応用製品事業は、TMRセンサーなどの磁気センサーがけん引している。ICTに加え、自動車や産業機器にも展開しており、まだまだ伸びしろがある。
磁気応用製品事業は、市況は継続的に回復していくと思う。熱アシストヘッド(HAMR)新製品サンプルの評価も始まっている。市況回復と自力での両輪で回復軌道に乗せていく。
25年のマクロ景気は不透明だが、当社が自力で行えること、例えば競争力を上げていく、新製品を開発し投入する、生産性を上げる、品質レベルの向上などはマクロ環境に関係なく実行できる。しっかりと自力を向上させていく。