2025.01.08 ファンが新機種で記念撮影 ニコンのCESブースに長蛇の列

ニコンのCESブース(現地時間7日、米ラスベガス)

ロボットビジョンシステムロボットビジョンシステム

対象の動きに追従する対象の動きに追従する

車載向けテレワイドカメラ車載向けテレワイドカメラ

トラックの運転席を仮想体験トラックの運転席を仮想体験

テレワイドカメラ(出所:ニコン)テレワイドカメラ(出所:ニコン)

 米ラスベガスで開催されている家電・ITの展示会「CES 2025」に出展したニコンのブースには、開催初日の7日、ファンが長蛇の列を作った。プロの写真家が新機種「Z50II」を使って記念撮影をしてくれる催しに参加するためだ。同社は消費者向け製品で注目を浴びつつ、工業ロボットや車載向けの先端製品も宣伝した。

 記念撮影の催しはCES恒例で、毎回話題のカメラが登場する。フラッグシップモデル「Z9」を使ったこともあったが、今回はZ9と同じ画像処理エンジンを採用しつつ初心者にも向いたモデルを用いた。参加者は記念撮影の写真をダウンロードして持ち帰れるため「CES土産になっているのでは」(ニコン)とのこと。

 同じブースには「ロボットビジョンシステム」も展示した。2D/3Dカメラをロボットアームに装着し、操作したい対象の物体を認識、距離まで把握できるようにする製品。高速で連続撮影することで、物体の置いてある場所が変わっても検知し追いかける。日本国内では主に自動車産業の工場などを対象としているが、CESでは参加者が親しめるよう「未来のレストラン」と題しキッチンで食器を片付ける様子を披露した。いわゆる人工知能(AI)を使った製品ではないというが、人間がそばで食器をずらしたり遠ざけたりすると、あたかも知能があるかのような滑らかさで動きを補正し、巧みにつかみとってみせた。会場からは「ニコンがこんなことをやっているんだね」「カメラの技術を応用しているんだね」といった声があったといい、同社の産業用製品になじみがない層へ訴求する機会となったもよう。「近い将来」(同社)に北米を含む海外展開も計画している。

 もうひとつ目を引いた展示が、望遠・広角レンズを一体化した車載向け「テレワイドカメラ」。三菱ふそうトラック・バスと手掛けたもので、遠方と周辺を同時に撮影できる。先進運転支援システム(ADAS)が遠方にある標識や車両を認識、追跡する際などに、対象が近くに来ても見失ったり二重に認識したりする問題を低減できる。

 特にトラックのような大型で座席の位置が高い車両の死角対策に役立つ。ただし「一般の人の多くはトラックに乗ったことはないと考えた」(同社)ため、今回は仮想現実(VR)映像で体験できる催しを用意した。トラックの運転席からの周囲の視認しづらさを感じたうえで、テレワイドカメラを利用するとどれだけ改善するか理解できる趣向。会場では参加者が次々ヘッドマウントディスプレーを受け取って装着し、驚きの声を漏らしていた。体験後により詳しい説明を求める人も多く「自動車とは違う業界からも興味を寄せられた」(同社)という。