2025.01.09 墜落するヘリ、360度から「リアル」撮影可能に ソニーG、「PXO AKIRA」実演
「PXO AKIRA」実演の様子
【ラスベガス(米ネバダ州)=CES取材班】ソニーグループは、世界最大のテクノロジー見本市「CES 2025」で、映像などコンテンツ制作でクリエイターを強力に支援していく方針を打ち出した。それを具体化した一つが、移動体撮影システム「PXO AKIRA(ピクソ アキラ)」だ。
ピクソ アキラは、VFX(視覚効果)などを手がけるグループ会社ピクソモンドが開発した。回転したり上下に動いたりする物理的なプラットフォームの上に、車やバイク、飛行機などを乗せ、背景の映像と合成することで、実際の現場で撮影しているようなリアルなコンテンツをスタジオで制作できる。例えば、迫力あるカーシーンを撮影する場合、従来はリアルな公道を借り切ったり、トラックに連結した車をけん引したりする手法が多い。リアルさを追求できる半面、コストが莫大にかかったり、特定の方向からしか撮影できなかったりと課題も。その解決を目指したのが、ピクソ アキラという。
ソニーグループ事業開発プラットフォーム事業開発部門コーポレートプロジェクト推進部の小松正茂統括部長は「これまでは難しかったヘリコプターが回転しながら墜落するようなシーンも、360度のアングルで撮影できるようになる」と説明する。
ピクソ アキラは2023年末頃から開発を始めて実現にこぎつけた。背景の映像とともにプラットフォーム上に乗せた車などの動きをあらかじめシミュレーションするシステムなどと合わせ、ピクソ アキラはトレーラーで移動できる。現在はピクソモンドのスタジオで撮影できるようにしているが、今後はソニーグループや他の制作スタジオなどシステムの外販も視野に入れている。