2025.01.10 【放送総合特集】25年 年頭所感 衛星放送協会 滝山正夫会長
滝山 会長
オリジナルコンテンツを発掘
新規ビジネス拡大に努力
昨年は、AI(人工知能)技術の進化が一層加速した年でした。特に、生成AIやディープラーニングの分野での革新的な進展は、私たちの日常生活やビジネスに大きな影響を与えました。AIによる画像や動画の生成、自然言語処理の技術は、クリエーティブ領域の可能性をも広げ、今までにない新たな制作手法が誕生した年でもありました。このような状況下、衛星放送事業者としても、既存の手法やサービスにこだわらず、放送と配信を組み合わせたサービスの充実、新たな販路の拡大、SNSなどデジタルメディアへの情報発信など、視聴者のニーズに合わせたサービスを提供し、既存視聴者の満足度向上のみならず、新規視聴者の獲得につなげていきたいと考えております。
さて、昨年12月に総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の第3次取りまとめが公表されました。当協会では「衛星放送ワーキンググループ」にオブザーバーとして加わり、議論・検討を行ってまいりました。
インフラコストの低減につきましては、新規衛星をBS、CS放送のハード事業者が共同で調達し、2029年度後半を目標に打ち上げること、新規衛星には放送用の左旋中継器を搭載しないこと、また右旋帯域の有効活用としてHEVC方式による2K放送を行う際の具体案を検討し制度整備を実施することなどが取りまとめられました。さらに地上波代替における衛星放送の活用、災害発生時における衛星放送の活用など、重要なインフラを衛星放送が担うことについても引き続き議論されることとなりました。
当協会では、本ワーキンググループで取りまとめられた内容につきまして引き続き議論を深めるとともに具体的な課題解決に取り組んでまいります。
また、衛星放送協会では11年から、「オリジナル番組アワード」を開催し今年で第15回を迎えます。昨年はグランプリにWOWOWライブの「生中継!新しい学校のリーダーズの初武道館『青春襲来』」が受賞、映画監督の山田洋次さまが特別表彰を受けられました。今回、このような幅広い世代に向けた作品が受賞したことにより、Webを中心に過去最も多くのメディアに取り上げられました。
第15回の節目に当たり、改めて動画コンテンツにあふれる「今」に求められる、衛星放送ならではのオリジナリティーあるコンテンツを発掘するとともにコンテンツを起点とした新規ビジネスの拡大に努めてまいります。
さらに、衛星放送協会といたしましては、これまで以上にコンプライアンス重視の姿勢を徹底いたします。特に昨今、インターネット、SNSなど、情報の真偽について問われる事象が多く見受けられます。衛星放送協会といたしましては放送における信頼性の担保を重視し、会員社に向けてより一層の啓蒙活動を進め、業界を挙げて放送倫理の向上に努めてまいります。
引き続き、個人の嗜好に合うオリジナリティーあふれるコンテンツを提供し、かつ信頼のおける情報を発信するメディアとして視聴者の皆さまとともに歩んでいきたいと考えております。