2025.01.15 カメラでアルコール検知も クラウド型運転支援システム 三菱が米で初公開

カメラ1台でさまざまなデータを読み取れるようにしている

クラウド経由でソフトウェア更新も可能クラウド経由でソフトウェア更新も可能

 三菱電機オートモーティブ・アメリカが、ドライバーに起因する交通事故を防止するための運転支援システム「DMS」の開発を強化している。運転席に設置したカメラで、アルコール検知などさまざまなデータを読み取る提案に乗り出した。搭載するセンサーを減らすことでコスト低減などにつなげ、DMSの導入を加速したい考えだ。

 同社は、三菱電機グループの米国法人として自動車機器事業を担当。DMSを備える車載システム「FLEXconnect(フレックスコネクト)」として導入を目指している。

 10日に閉幕した世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」で披露したのは、あくびや居眠り、喫煙、飲酒状況、姿勢など安全運転に支障をきたしかねない運転手の状況を、1台のカメラで検知できるようにしたシステムだ。アルコール検知は多様な人種を含めて評価しており、検出精度は7割に達するという。「あくまでカメラでアルコール検知もできるという提案段階」(西暁雄シニアエンジニア)。

 三菱は、DMS市場が2025年で世界の新車販売の20%強を占める規模になると予測する。欧州では26年から新車への搭載が義務化されるなど、世界的にも導入が本格化することが見込まれる。

 フレックスコネクトでは脈拍も検出できる。バイタルデータを含めカメラ1台でセンシングできるようにし、競合との差別化につなげる狙いだ。それらのデータは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウド環境に集約、分析できるようにし、次世代車の開発に生かせるようにもしている。

 小網康明エグゼクティブディレクターは「実車でデモをしないと顧客から評価されない」とし、直前までシステムを調整して実演展示にこだわった。

 システムを実演展示したのは今回が初。DMSだけでなく、バックドアの開閉にカメラを活用するなど、これまでにない価値を車に出すための提案を行った。

 景山愛樹バイスプレジデントは「多くのカーメーカーに体感してもらった。全ていい感触」と手ごたえを語る。昨年末には、三菱電機モビリティがDMSソフトウェアを手掛ける豪シーイングマシーンズとの資本業務提携を発表した。今後、両社の技術を結集したシステムの開発も進めていく構えだ。

CESに出展した三菱電機オートモーティブ・アメリカの関係者ら