2025.01.14 「ARグラスは夜明け前」 35年には年間10億台規模を予測、セリッド・白神CEO
今年を市場拡大の夜明け前と語る白神CEO
2035年には年間10億台の時代が来る――。スマートフォンに匹敵する巨大市場への成長を予測し、他社にない革新的な技術でAR(拡張現実)グラス用ディスプレーの開発に挑んでいるのがCellid(セリッド、東京都港区)だ。通常のメガネと変わらない重さのプラスチック製ディスプレーを開発しており、昨年11月にはメガネ型のリファレンスデザインの提供も開始している。今年を市場拡大の「夜明け前」に例える白神賢CEO(最高経営責任者)に、米国ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES 2025」会場で話を聞いた。
―ARグラスでの貴社の強みをお聞かせください。
白神CEO ARグラスはガラス製が一般的だが、当社はプラスチック製でフルカラー映像を映し出せる技術に世界で初めて成功した。プラスチック製であるため軽く、通常のメガネに近い感覚でARグラスを使えるようになる。
当社もガラス製を手掛けているため、その効果も理解している。ただ、実用性を考えると、これからはプラスチック製がスタンダードになるとみている。
―採用実績は。
白神CEO まさに今年から量産するような状況。採用した各社の量産プロジェクトが動くところだ。今年の早い時期に採用した製品が市場に出てくるだろう。
―昨年11月にはメガネ型のリファレンスデザインをリリースしました。
白神CEO リファレンスデザインは、ユースケースとして活用しアプリの開発などに生かしてもらえればと思っている。当社がARグラスの完成品を自社ブランドで展開していくというよりは、ARグラスのキーとなるディスプレー部分を供給していく。
―ARグラスの市場動向は。
白神CEO これまで市場をリードしてきたのは、やはりビッグテックだった。当社の売り上げも米国が大部分を占める。ただ、さまざまなメーカーがARグラスを製品化するようになっており、ビッグテック中心の状況に変化も出てきている。
―日本市場の位置づけは。
白神CEO 昨年までは米国中心だったが、これからは「米国一辺倒」ではなくなるだろう。量産品を立ち上げようとする顧客の中には日本企業もいる。
レイバンがカメラやスピーカーなどを搭載したスマートグラスを発売したことで、サングラスを買う感覚で選ぶ人も増えている。そこにディスプレーが搭載されていくと、ARグラスの本格的な市場の立ち上がりにつながっていくはずだ。当社のプラスチック製ディスプレーを各社に提供することで、マーケットの立ち上げに貢献したいと思っている。
―今後の展望をお聞かせください。
白神CEO ARグラスはモバイル以上のマーケットに成長する可能性を秘めている。さまざまなメーカーがARグラスを出し始めたことで、マーケットが着実に進捗してきているのを感じる。
ARグラスは選択肢が増え、今年から色々な製品を選べるようになるはずだ。市場はまさに「夜明け前」と言える。