2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 NECプラットフォームズ 河村厚男社長
「選択と集中」で効率化
ポートフォリオ変革に注力
2024年のICT(情報通信技術)はDX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる事業が堅調に動いた。DXには、既存システムを可視化して生産性を高める効率化と、取得したデータから価値創造するという2種類がある。現場の効率化が進み、データ活用では生成AI(人工知能)が鍵を握る。社内でも工場従業員も含め53%が使うようになった。業界を絞った形で特化型の生成AIを広げビジネスにつなげたい。
一方で、高速通信規格5Gの導入は足踏みが続き、テレコム市場は低調が続いている。動画の撮影などスマートフォンの機能が大幅に広がった4Gはライフスタイルの変革を巻き起こしたが、5Gの利便性などサービスの恩恵への認識が広がっていない。ローカル5Gなど企業向けの活用を進めたい。
着実に伸びているのが、国防予算が増額した宇宙防衛など社会インフラだ。テレコム事業をはじめ、ものづくりで培ったリソースを宇宙防衛関連に振り向け、需要に対応していきたい。
24年はポートフォリオの変革に力を入れてきた。継続的に価値を提供できる事業への「選択と集中」を行い、事業の集約を進めている。
POS(販売時点情報管理)関連事業を、日本みらいキャピタル(東京都千代田区)の運営ファンドが全額を出資するSPC(特別目的会社)に譲渡したのもその一環。日本みらいの経営支援ノウハウを組み合わせた方が事業としてさらに拡大し社会に貢献できると判断した。
コラボレーションにメリットがあれば今後も譲渡を含めた検討を進め、事業が速く回るような経営を目指していく。当社だけで担えない部分はパートナー連携も進める。
Matterに加盟
昨年12月には、スマートホーム分野の国際標準規格「Matter」を策定する米国の標準化団体Connectivity Standards Allianceのパーティシパント会員に加盟した。当社が提供する製品・サービスはスマート家電やIoTデバイスの状態把握や制御を担うMatterと親和性が高く、連携を深めたい。
スマート工場の取り組みでは、掛川新棟(静岡県掛川市)で展開するローカル5G環境下で無人搬送車(AGV)などの視察が増えている。他メーカーの担当者と情報交換することで、逆にフィードバックをもらい事業改善にもつなげている。
25年もポートフォリオ改革と現事業のスキルやアセットを生かした事業拡大を進め、NECグループやパートナーとともに新たな事業創出を狙う。ものづくりのエンジンを原動力に変革と挑戦を続けていきたい。