2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 25年の経営戦略 伯東 宮下環社長
宮下 社長
部門間連携の価値創造が強化ポイント
伯東は半導体・電子部品、電子・電気機器(システム)、工業薬品の三つの主力事業を展開する。宮下環社長は2024年を「市場はAI(人工知能)一択の印象。各事業でAIに関連している部分では商談や受注が増加したが、関連性の低い分野では在庫の調整局面が継続した」と振り返る。AI関連で引き合いが多かった自社ブランドのイオンビームエッチング装置は当初の期待通りに受注を獲得している。
部門間連携による価値創造は強化ポイントの一つ。化学プラントにおける発泡対策が必要な工程に撮像システムを組み合わせたAIソリューションは好評を博している。
新事業や新市場への進出を目的に、資本提携や新技術関連の連携に関する社内外の相談窓口として、事業企画室を23年度に新設した。24年9月に受託分析サービスを手掛けるクリアライズを完全子会社化した際には、同室が案件を取りまとめた。
海外戦略では、中華圏は中国経済の回復の遅れによる影響など不透明感があるものの、ASEAN圏(シンガポール、タイ、マレーシア)では拠点間での人材共有によるシナジー効果を発揮、ロボット事業拡大への新規投資を検討する。
海外子会社の伯東タイランドは24年9月、タイで排水処理用真空蒸留乾燥装置やMVR蒸発濃縮装置などを手掛けるROCK ENGINEERING社とインドにおける代理店契約を締結した。急成長を続けるインド市場に展開し、直面している水不足・工業排水による水質汚染問題に対するソリューションを提供する。
24年度は中期経営計画(期間4年)の最終年度。当初の計画目標として掲げた、安定的に営業利益50億円以上を計上できる企業体質の確立は達成できたと認識する。
宮下社長は「環境が急激に変わっていく時代。『最終的にわれわれはどうなりたいか』という点は自分たちで決められる。そこをしっかりと定めれば道筋は変わっても前進はできる」と話す。自社の在るべき姿をベースに次期中計を策定し、主体性の高いチームやマインドを醸成する方針だ。