2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体 各社の25年事業戦略 トレックス・セミコンダクター 木村岳史社長
木村 社長
FAE体制拡大、SiC事業化へ
トレックス・セミコンダクターは、小型、省電力、低ノイズの電源集積回路(IC)を手掛ける。
木村岳史代表取締役社長執行役員は、半導体市場の見通しを前年末の受注状況から「徐々に回復基調に入りつつある」とした。2025年も人材ありきの経営を掲げ、人事制度を改定し若手が能力を発揮できる施策を導入する。
営業面は、設計技術者が顧客に製品の紹介や課題の聞き取りを行うフィールド・アプリケーション・エンジニアリング(FAE)グループが成果を上げ、前年10月にFAE部へ改組し10人体制に拡大。25年以降も増員して設計部門と人員を循環させ、得た情報を開発に反映する。
マーケティングを生かした開発は以前からの強み。センシング向けに低ドロップアウト(LDO)レギュレーターを置き換える小型、高効率のDC/DCコンバーターとして前年12月発表した「XC9704」「XC9705」でも顕著で、同製品もFAEが反応を吸い上げる。両製品に対応したコイルを一体化した製品も25年3月をめどに計画。産業ロボット向けなどで伸びを見込む。
パワー半導体事業推進部も進展。受託生産を行うグループ会社フェニテックセミコンダクターを生かし、トレックスブランドで展開。シリコンカーバイド(SiC)製品はSBDで25年度に事業化を見込む。MOSFETはプレーナー型をサンプル提供しトレンチ型も開発中。電動車の充電器用途をみる。
設備面は、トレックスの鹿児島工場の生産能力を22年度比3倍に高める投資が完了し、短納期での顧客に対応可能になる。
海外は、中国の上海地区と深圳地区の販売オペレーションを一本化した。タイは開発活動が増え顧客を獲得。インドも内需の顧客を得る。
末端機器で動作する人工知能、エッジAIも商機。AIカメラ向けで電源ICの採用例があり拡大を見込む。データセンターで動作するクラウドAI向けに低電圧で高精度の電源ICも「開発を進めている」(木村社長)。