2025.02.27 【複合機&プリンターソリューション特集】DXソリューション
AIで新たなソリューション価値を提案
複合機とアプリ連携で促進
生成AIなど実装本格化
複合機メーカー各社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションを強化している。デバイスの複合機とアプリケーションを連携させ、電子化など企業のDX化を促進する。今後は、生成AI(人工知能)などを実装化する動きも本格化する見通しだ。
リコーは、中小企業のDX化を支援するA3カラー複合機の新製品として、同社グループ会社で業務用スキャナー世界シェアトップのPFUの用紙搬送技術をリコーのADF(自動原稿送り装置)に組み合わせたモデルを発売開始した。
リコージャパンのデジタルサービス企画本部オフィスプリンティング事業センターの三浦克久センター長は「人手不足対応、DXによる生産性向上、さらにセキュリティー確保が、中堅・中小企業の抱える経営課題となっている。新たなエッジデバイスの提供で、DXを支援していく」と話す。
ソリューションでは、スクラムパッケージやスクラムアセットが好調だ。2024年度もスクラムシリーズの売り上げは、前年同期比で30%の伸びを見せている。
リコージャパンでは、業種業務に合わせた改善提案を担う「AIエバンジェリスト」300人の育成を開始しており、「使える・使いこなせるAI」販売を強化している。
富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、ビジネスソリューション事業のフィロソフィーとして「CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)」を掲げ、顧客の成功体験を実現するソリューション・サービスを強化。DXを加速するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」と中堅・中小企業のIT運用・管理業務サービス「IT Expert Services」の2本柱で展開している。
IWproは、クラウド上のワークスペースに、業務に必要な情報や、データ化・確認・加工・出力・送信といった一連の業務を集約し、既存システムをつなぐことで協働を実現するサービス。新たに「IWpro Intelligent Assistantオプション」の提供を開始した。顧客企業の社内に蓄積された業務データを使って、自社の業務に最適化されたAIモデルを簡単に作成・活用できるサービス。
ビジネスソリューション事業本部の岡部美智マーケティング部ソリューション企画グループ長は「中小企業は、IT人材が不足しており、DXも大手と中堅・中小企業、大都市と地方では格差がある。ITスキルがなくてもDX化が実現できるよう支援していくことが重要。IWproの成功体験の横展開にも力を入れる」と話す。白旗謙次朗マーケティング部サービス企画グループ長も「IT Expert ServicesもAIとの連携が大きなテーマ」と話し、データの可視化などIWproとの連携強化を強調する。
富士フイルムBIジャパンの中川靖崇販売推進部販売促進室グループ長は「生成AIのニーズは、確実に高まってくる。DX化、AI化のニーズに応えていきたい」と話す。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、中小企業向けDX支援サービス「HOMEセレクトシリーズ」の導入支援・保守を強化する。「HOME セレクトシリーズ ソリューションパック」全13パックのうち、NIコンサルティングの製品が含まれる七つのラインアップで、専任担当者によるサポートをワンストップで提供する。
コニカミノルタジャパンでは、自社実践で得たノウハウをもとに複合機と連携したソリューション提案を行い、働く人の生産性を高め、創造的な時間を創出し、個々が輝きながら働くことのできる環境構築を支援してきた。
複合機のbizhub 1iシリーズでは、ソリューション連携を強化している。多様な働き方に合わせ、bizhub 1iシリーズに機能拡張を実現するプラットフォームKonica Minolta MarketPlaceからスキャン、印刷、セキュリティーなどの多彩なアプリケーションを簡単に追加でき、業務のDX化を支援している。
MarketPlaceで「bizhub スキャンイメージ分割アプリ」をインストールすることで、領収書やレシートを複数並べてスキャンするだけで画像を分割してデータ化し、スキャン作業を効率化できる。
エプソン販売は、プリントやコピーの使用状況に合わせてプランや機器を選べる「エプソンのスマートチャージ」を展開している。PオフィスMD部の手戸佑介Pオフィス企画課課長は「アカデミックプランが好調だ。全国各自治体の教育委員会とも連携を密にし、学校現場の働き方改善を提案している。印刷渋滞の解消、生徒の学びの向上にもつながっている」と話す。オフィス市場戦略では、「低消費電力、省資源化などオフィスでの環境価値を訴求」している。自治体DX、医療現場のDXにも注力する。
東芝テックは、複合機本体とクラウドストレージサービス「Collastorage」との連携を強化している。「コラストレージサービスの機能拡張を進めるとともに、他社にないRFIDライター対応機で、新規領域を開拓していく」とリテール・ソリューション事業本部セールスストラテジーセンターの菊地義祝国内第二営業推進部部長は話す。
同社では「Workstyle Renovation」のコンセプトで、複合機の利用シーンをオフィスに限定することなく、多様化するワークスタイルに対応している。
パートナーとの連携も強化、アイ・オー・データのNAS「LAN DISK」と連携、LAN DISKに保管したデータをコラストレージ上で管理するソリューションを提供している。
生成AIの実装化は、これからの大きなテーマだ。各社ともデータ活用やAIを成長戦略に軸に据える。東芝テックは、AIとデータサイエンスによるDXを支援する新会社ジャイナミクスを設立、顧客課題解決につながるDXソリューションとして提供する。