2025.02.27 顔情報保存なしで顔認証 NECが新たなデジタル署名技術開発

 NECは26日、顔情報の保存なしで顔認証できる生体情報利用デジタル署名技術を開発したと発表した。顔認証の精度を維持したまま、顔情報の漏えいリスクを抑え、より安全・安心な認証を実現する。2025年度中に決済や入退場などの用途で実証を進める。

 今回開発したのは、登録時と認証時でゆらぎのある顔情報からでも本人の鍵を生成できる技術。これまでの顔情報の照合と異なり、顔情報から生成した鍵の照合により顔認証するため、顔情報の保存が不要になる。

 認証時に撮影した顔情報は、顔の向きや表情、撮影環境などにより、同一人物でも登録時からのゆらぎが生じるため、他人の鍵が生成されるリスクがあった。そこでNECは撮影ごとに変化する顔情報でも本人の鍵を生成する独自のアルゴリズムを開発。登録時と比較した撮影時の顔情報のゆらぎの大きさを推定し、推定されたゆらぎが大きい場合には他人と判定することで他人の鍵の生成を防ぐ。

 NECは「顔認証だけではなく全ての生体認証に適用できる」としており、電子文書に対する真正性の証明や電子契約、デジタルアセットの取引、デジタル証明書の提示などでの利用を検討する。(28日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)