2025.03.21 研究支援に3200万円 半導体や二次電池など16件を助成
贈呈式での記念撮影
松籟(しょうらい)科学技術振興財団は18日、東京都内のホテルで「第42回研究助成金贈呈式」を開催し、過去最多となる87件の応募から16件の研究を採択した。1件あたり200万円、総額3200万円の助成金を贈呈した。
贈呈対象は、①植物有用成分とバイオマス資源の高度利用②エレクトロニクスの次世代材料・技術③持続可能な社会を実現する有機系新素材」の3分野。①が6件、②が3件、③が7件選ばれた。採択率は約18.7%だった。
長谷川吉弘理事長(ハリマ化成グループ代表取締役社長)は、「1983年の財団設立以来、これまでの助成件数は823件、助成金は総額9億3290万円となる。発明や発見は偶然の産物。今回の助成や本日の交流が、今後の研究に生かされることを願う」と語った。
文部科学省からは松浦重和大臣官房審議官が登壇し、塩見みづ枝研究振興局長のメッセージを代読。「設立以来、科学技術への支援を続けてきたのは意義深いこと。今回の助成を契機に社会に貢献する研究成果につなげてもらえるよう祈念する」と述べた。
選考委員長を務めた京都大学の中條善樹名誉教授は、「助成はゴールではない。自信を持って研究を進め、日本や世界を元気づける研究成果につなげてほしい」と激励した。
受領者を代表し、広島大学の古水千尋助教授は「植物有用成分に関わる研究をテーマに応募した。今回の助成を研究に役立て、最新の研究成果を発表できるよう取り組んでいく」と意気込みを語った。
贈呈式後には記念講演と懇親会も行われた。講演では、第38回受領者の中島晶・弘前大学教授が「認知症予防に有用な食品成分の探索」をテーマに登壇。懇親会では自民党の渡海紀三朗衆議院議員が登壇し、「科学技術力の低下が指摘されているが、基礎研究に十分な資金が提供されていないという課題がある。日本は資源の無い国であり、国家の成長を担うのは『人』。研究を志す人が、十分に研究できる環境を整えていきたい」と述べた。
同財団は83年、ハリマ化成創業者・長谷川末吉氏が設立。これまでにノーベル化学賞受賞者も輩出しており、国内外の科学技術振興に貢献している。今回の研究助成でも半導体や二次電池など将来性の高い研究が選ばれており、今後の成果が期待される。
<執筆・構成=半導体ナビ>