2025.03.25 「東洋のシリコンバレー」に半導体新工場 台湾ASE

ASEのマレーシア拠点

新工場開設に合わせて実施したオープニングセレモニーの様子(出所:ASE)新工場開設に合わせて実施したオープニングセレモニーの様子(出所:ASE)

 半導体後工程大手の台湾・日月光投資控股(ASE)が、マレーシア・ペナン州に先端パッケージング対応の新工場(第5工場)を開設した。人工知能(AI)やエッジコンピューティングなど成長分野で需要が見込まれる先端パッケージング技術に対応し、ASEのマレーシア工場の床面積を現行の約100万平方フィートから約340万平方フィートに拡大する戦略の一環だ。

 ASEは、回路形成を終えた半導体ウエハーを受け取り、チップに切り分け、検査や実装、封止までを行う後工程を専門とする企業(OSAT)の世界最大手。前工程を専門とするファウンドリー企業の成長に伴いOSAT市場も拡大しており、ASEはその中核的存在だ。ASEは新工場を2月18日に開設した。

 ペナン州政府のジャグディープ・シン・デオ副市長は「ASEの新工場は重要なマイルストーン。ペナンは世界の半導体業界における一大集積地としての地位をさらに強固なものにし、マレーシアが『東洋のシリコンバレー 』としての評価をさらに高めることに期待する」と強調。マレーシア投資開発庁(MIDA)のシヴァスリヤムオルティ・スンダラ・ラジャ副CEO(最高経営責任者)も「ASEのようなリーディング企業との連携をマレーシア地場企業にも拡大して欲しい」と述べた。

 ASEはマレーシアで長年にわたり先進的な半導体製造ラインを構築してきた。AIによる異常検知やIoTを活用した工程最適化なども進めている。ティエン・ウーCEOは「新工場は、グローバル半導体のバリューチェーン全体でさらに大きな役割を果たし、マレーシアの経済成長に貢献できる」と展望する。

 世界の半導体市場は今後10年間で1兆ドル規模に拡大するとの予測もあり、OSATの役割も一層重要になるはずだ。

<執筆・構成=半導体ナビ